30年以上の研究を実用化へ
森林土壌由来の微生物(エンドファイト(植物内生菌))の研究開発と実用化を行なう株式会社エンドファイトは、茨城大学農学部の成澤才彦教授が30年以上研究を重ねた技術を社会で実装化すべく、大学発のスタートアップとして2023 年4 月に教授と風岡俊希さんの共同創業者で設立した。
独自の「Dark-septateendophyte」DSE株の微生物は植物の根に共生させることで、通常生育できない環境での生育を可能にする。例えば、夏場の栽培が難しいいちごを素人でもでき、更にスーパーのいちごの糖度12度前後よりも高い糖度20度のものを作れる。
この技術は食糧危機問題や、荒廃した土地の再生、農業におけるカーボンニュートラル等の実現等、地球規模の社会問題解決に期待され、現在は苗や培土の販売の他、技術提供による新規事業の検証をしており、バイオ資材の開発、自社技術を使った新しい農法の開発、都市の都市型農園や、都市緑化のパッケージ開発、ガーデニングの技術提供、森林再生・植林や森林管理、土壌再生、カーボンクレジット等、グリーン領域全般と守備範囲は広い。
金融業界から、異業種、初の農業分野への挑戦
前職で政府系の金融機関でベンチャー投資に関わり、地方発の新規ビジネスの芽を数々見てきた風岡さん。その過程で出会った成澤教授の研究内容とビジョンに好奇心が掻き立てられた。社会性と経済性。新しいスタートアップのモデルが作れる技術の種、実現した時の世界に対するインパクトの大きさに惹かれ、全く未知の領域に飛び込んだ。