開催レポート:地域発イノベーションを発掘! 日本の農山漁村に新たなビジネスを

地域発イノベーションを発掘! 日本の農山漁村に新たなビジネスを

魅力的な資源にあふれ、ビジネスの可能性に満ちた日本の農山漁村。「INACOME(イナカム)」は、地域の多様な資源に人材と資金を組み合わせることで新たな事業の創出を促すプラットフォームです。取り組みの一環として「令和4年度INACOMEビジネスコンテスト」が開催され、一次・二次審査を通過した11名が2023年2月18日の本選大会に出場しました。

農山漁村地域が持続的に発展するためには、雇用と所得の創出が不可欠。そのためには多様な地域資源を新たな発想やアイデアで活用し、事業機会を生む取り組みが求められます。近年、全国各地に精力的な活動が生まれており、同コンテストには100件を超えるエントリーが寄せられ関心の高さを示しました。

主催者を代表して影山義人・農林水産省農村振興局農村政策部都市農村交流課長が「地域の課題は深く掘り下げるほど具体的に見えてくる。あらゆる知恵と工夫を組み合わせ、最適なソリューションを見つけ出していただきたい」と挨拶し、本選がスタート。11人の登壇者はそれぞれ持ち時間7分に思いのたけをぶつけ、熱のこもったプレゼンを行いました。

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登壇者とビジネスプランの概要
(登壇順)

乳用牛の健康増進を可能にする遠隔栄養管理
石山 大(石山生産獣医科)

乳用牛の餌や栄養状態、乳生産、糞を遠隔でモニタリングし、診断結果をもとにそれぞれの管理目標に合った飼料設計を行うサービス。どの地域でも高いレベルで牛群の健康増進を叶え日本の酪農業に貢献する。
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稲を繊維作物として最適化していくと何個か社会課題を解決できる
大越 雄太

稲を食料としてだけでなく繊維として最適化し活用の幅を広げる。稲の需要が上がることで「コメ農家の収入減」「耕作放棄地の増加」「補助金依存」という3つの社会課題の解決を目指す。
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青ヶ島の水産資源xNFT+WEB3=ブルーエコノミー3.0
岡部 典孝(JPYC株式会社)

東京の離島・青ヶ島でNFT(デジタル資産)等デジタル技術の活用により、現在は未利用の豊かな漁業資源の産業化を実現する。生産額1億円を目指し、漁師を島で一番稼げる職業にする。
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ビールで農地を保全する!プロジェクト
佐藤 稜(学内カンパニー 岩手大学クラフトビール部)

遊休農地でのビール麦栽培により継続的な農地の利活用と農業所得の増加を実現。生産、麦芽加工、ビール醸造のプロセスをつなぎ、農家、醸造所、自社、地域の「四方良し」な収益構造を構築する。

トレーラーハウスを活用したシェアリングサービス 地域も稼げる農林水産泊モデル「ふるさとキャビン」
武田 晃直(株式会社エリアノ)

遊休地等にトレーラーハウスを停め、農山漁村の魅力を堪能できる宿泊サービスを展開。NFTで宿泊権利を購入するシステムと毎年泊まりたくなるコンテンツにより、関係人口増加と地域活性化を目指す。
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森林レンタルサービスforenta
田口房国(株式会社山共)

区画に分けた森林を年間契約でレンタルするサービス。既存の森林が都市住民に必要とされ収益が上がることで、山村に自信と誇りを取り戻す。簡易なスキームで全国に展開可能であり、新しい林業のあり方を提案できる。
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農業を通じて社会課題を解決する!
ナカヤチ 美昭(農地所有適格法人 株式会社 ちーの)

コメ由来のバイオマスプラスチックに絡めた活動を通して、農業の課題解決と環境問題への理解周知に取り組む。原料の米作りへの参加や、体験型教育ツアー、アグリヒーリングツアー等を実施する。

山をサブスク!山の中でキャンプ&木こり体験「MOKKI NO MORI」
渡部 由佳(MOKKI株式会社)

豊かな自然と都心からのアクセスの良さを生かし、都心在住者と森林のプロをつなぐ「会員制アウトドアフィールド」を開設。森を適切に活用してもらうことで「人が入れば入るほど森が美しくなる仕組み」を構築した。

観光と販促の二刀流「地域特化型ライブコマース」
出口 友子(株式会社クリエ)

深刻な人口減少の課題に直面する愛媛県南予地方で、ライブコマースによる地元事業者の収益増に貢献。水産物のダイレクト販売、デジタル生配信ツアーなどで首都圏や全国の消費者へのアプローチを実現した。
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サウナ×お寺で地域活性化。お寺を持続可能な農林業の中心に!
西山 十海(宗教法人大泰寺)

全国に増えている空き寺(住職のいない寺)を地域の宝として復活させるため、若者に人気のサウナを取り入れ「心が整う場」としての寺の発信力を強化。薪やアロマオイル、食事の需要増に伴い農林業の活性化も実現させる。

キャンプde地産地消「TerroirCAMP(テロワールキャンプ)」
山崎 繁幸(株式会社Engi)

キャンプ場を観光のハブ拠点化することで、ブームでありながら観光産業になり得ていないキャンプを地域振興に貢献するコンテンツに変える。特に地元農産物をセットにして配達するサービスに力を入れている。
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それぞれの発表ごとに審査員による質疑応答が行われ、終了後に別室での審査を経て下記の通り各賞が発表されました。

最優秀賞:山崎繁幸さん_キャンプde地産地消「TerroirCAMP(テロワールキャンプ)」
優秀賞:佐藤稜さん_ビールで農地を保全する!プロジェクト
優秀賞:田口房国さん_森林レンタルサービスforenta
特別賞:石山大さん_乳用牛の健康増進を可能にする遠隔栄養管理
特別賞:岡部典孝さん_青ヶ島の水産資源xNFT+WEB3=ブルーエコノミー3.0
特別賞:西山十海さん_サウナ×お寺で地域活性化。お寺を持続可能な農林業の中心に!

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最優秀賞を受賞した山崎さんは笑顔で喜びを語り、「重要なのはこれから日本の農業の一助になれるかどうか。頑張ります」と表情を引き締めました。審査員の株式会社ソトコト・プラネット代表取締役・指出一正さんは選定理由として「キャンパーが地域で消費活動を行わない点に目を付け、キャンパーと地場産業の接点を構築したのはまさにイノベーション。将来的に大きな可能性を秘めており、新しいビジネスの芽が多く生まれることに期待したい」と話しました。

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審査員長を務めた株式会社スペックホルダー代表取締役社長・大野泰敬さんは「皆さんの声一つ一つが、日本全国の課題を解決していくものでした」と講評。「この場が皆さんのスタート地点。受賞が叶わなかった人もチャレンジを続けてください」とまとめ、出場者を激励しました。

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