INACOME NIGHT 第2弾

第2回のゲストは、国内最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」の照井翔登氏。テーマは起業の必須キーワード「資金調達」。クラウドファンディングを活用することの様々なメリットや留意点、成功のポイントについてお話しいただきました。

日 時:2020年11月10日(火)19時~21時
テーマ:資金調達
ゲスト:株式会社CAMPFIRE 地域連携推進チーム統括 照井翔登 氏

(プロフィール)
秋田県横手市出身。2011年より日本初のTwitterを活用した地域おこし事業へ参画、その後東北を中心に全国各地での地域事業を経験。2015年より地域特化型クラウドファンディングFAAVOに参画。2018年に株式会社CAMPFIREへ事業譲渡と同時に移籍。地域連携推進チームを立ち上げ、金融機関や自治体との連携、ふるさと納税事業などを担当。

【ウェビナー要旨】

クラウドファンディングとは
私たちは「資金調達の民主化」をミッションに掲げている。CAMPFIREというクラウドファンディングサービスを通じて、“小さな声をあげる人たち”がやりたいことを実現できるよう、そのサポートに取り組んでいる。お金には色がないというが、「お金の流れをカラフルに」を合言葉にして、誰かを応援したい気持ちなど、お金とコミュニケーションが一緒に流れる、彩りのある社会をつくりたいと考えている。
クラウドファンディングには、個人が使いやすいもの、事業者が使いやすいものなど、いくつもの種類があるが、CAMPFIREでは「購入型」「寄付型」「株式型」「融資型」の4つを扱っている。これまでに流通金額340億円、支援者数390万人、挑戦の数は4万2千件(ウェビナー当時)に達していて、インパクトは大きいと思う。
新型コロナの関係では、コロナで影響を受けた事業者の販路開拓や業種転換などを応援するため、2020年2月末から11月24日まで「新型コロナウイルスサポートプログラム」を展開。観光、飲食、農家などの事業者を対象に手数料減額などを行っている。既に4千200件以上、支援者80万人、総支援額92.5億円と、これも結構大きな動きになっている。
クラウドファンディングのCrowdとは、人々、大衆、群衆の意味で、Fundingは資金調達。簡単に言うと、銀行投資家や金融の専門家ではない、たくさんの一般の人たちからインターネットを通じて資金を集めること。やりたいことのある挑戦者が、それをクラウドファンディングサイトにプロジェクトとして投稿。そのプロジェクトを応援したいとか、商品が欲しい人が支援者として支援金を送る。プロジェクトが無事終了すると、支援者は制作物、体験、お礼などのリターンが得られる仕組みになっている。
募集方式には、最大60日間で、失敗すると支援金はゼロ、手数料もゼロの「達成時実行型(All-or-Nothing)」と、最大80日間で集まった金額分を受け取れる「実行確約型(All-In)」がある。手数料は17%を基本にしている。これ以外に、毎月定額を募集する継続課金型のサブスクリプションモデルもある。

クラウドファンディングの構造
クラウドファンディングサイトに情報を載せさえすればお金が集まるというものではない。「支援があつまる場」ではなく「支援をあつめる場」と解釈してほしい。
クラウドファンディングのサイトは、「何をするか?」「何を得られるか?」で訴求する構造になっていて、“コト”と“モノ”のコーナーでできている。コトには「応援したいと思わせる共感性があるか?」、モノには「お金を出してもいいと思わせるリターンが設定されているか?」がポイントになる。
二宮金治郎のことばに「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」というものがあるが、コトは道徳、モノは経済と言い換えることもできる。この道徳と経済のバランスはプロジェクトの性格によって適切に設定することが大事だと思う。
プランニングの段階では「誰が、いつ、どこで、だれと、何を、どのように、いつまでに、いくらで、なぜ」を棚卸ししておくべきで、特に「なぜやるのか」は、ぜひ自分のことばで、きちんと言語化しておいてほしい。
成功させるためには、なぜやりたいのかという「熱量」と、何をやりたいかの「コンテンツ力」、この二つの組み合わせが重要になる。
一人でクラウドファンディングに挑戦する人も多いが、企画、ライティング、デザイン、写真撮影、営業などやるべきことがたくさんあるので、できるだけ仲間と協力してチームでプロジェクトを運用するのがいいと思う。

CAMPFIREでできること
クラウドファンディングでできることは資金調達だけではない。事業を始める前に、サイトのメッセージ機能を使って支援者にアンケートをとるなどニーズを把握したり、テストマーケティングにも使えるほか、販路開拓やPR、集客・ファンづくりもできる。
中小企業など販促費や調査費をかけられない企業は、企画から生産・販売まで時間がかかる。その間に消費者ニーズが変わってしまったり、適切な検証ができなかったりするが、クラウドファンディングを使うことで、調査と資金調達を両立させて生産サイクルのPDCAを短縮化することも可能になる。支援者の反応を見て予想以上に売れそうなら、量産や販路を拡大するなど、そういう使い方ができる。
たくさんの事例があるが、ページの見せ方など成功のポイントを整理してみると、「商品の魅力を伝える写真の良さ」「強い共感を寄せるメッセージ性」「WEB上で話題になる仕掛け」「達成金額と広告費のバランス」の4つに集約できる。そして「タイトル」のつけ方もとても重要だ。
クラウドファンディングで1千万円、1億円と集める人もいる。それができればもちろん素晴らしいが、プロジェクトは着実に「小さく始めて大きく育てる」ことが大事だと思う。
クラウドファンディングは仕組み、ツールに過ぎない。これをどう使うのか、ぜひ自分らしい切り口、見せ方などであなたらしい色付けをしてほしい。