養殖漁業者兼、組合長兼、コンサル。天然より美味しい養殖魚で、養殖漁業の新たな未来を創る

三保に現れた新しい養殖場

静岡市三保半島に新進気鋭の養殖施設が誕生した。2020 年設立の株式会社ストラウトは元々ヒラメの養殖施設で、敷地内には歴史を感じさせるコンクリートの蓄養池と真新しい施設が対照的に並ぶ。人材難を感じさせない20 代前半の若者が楽しそうに働く姿が印象的だ。地下海水を利用したカワハギ養殖に加え、養殖業IT システムの開発、水産業のコンサルティングという業界共通の課題解決に向けた事業展開も大きな特徴だ。代表の平林馨さん、そしてこのビジネスのルーツはどこにあるのだろうか。

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東京から静岡へ、家業の事業再生で養殖の世界へ

ニジマスの養殖収穫量日本一の静岡県、主要産地の富士宮。平林さんの祖先は戦前に山形県で民間初のマス類の人工孵化と育成に成功し、より良い養殖地を求め富士宮に移住、“柴崎養鱒場”を拓いた一族。以後60 年以上に渡り地元養殖産業を下支えしておりその名を知らない同業者はいない。しかし、業界きっての老舗にも十数年前から経営危機が訪れていた。その渦中に自ら飛び込んだのが先代の孫にあたる平林さんだ。

「両親は東京でサラリーマンをしていたので東京育ちです。でも孫ですし、いずれ継ぐのだろうと思っていました。ただ養殖産業自体が衰退していましたから、絶対に潰れそうだなという気持ちがあり、東京の大学卒業後、食品商社に入社して働きながらMBA を取得、外資系コンサルティングファームにも行き一通り経営を学んだ後、事業再生のために柴崎養鱒場に入社、2019 年に3 代目代表に就任しました」

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