粘り強く、妥協せず。アートの世界から火が付いた藍を使ったコンクリート

コンクリートといえば灰色をイメージするが、喜田智彦さんの「藍」コンクリートは日本伝統の藍色だ。手作業の塗りによる質感、天然藍による美しい青の濃淡。「藍」コンクリートは、内装やインテリアのために利用されるだけでなく、アート作品としても注目を集めており、コンクリートの従来の枠に収まりきらない評価を得ている。この唯一無二のコンクリートの実用化までには、妥協なき試行錯誤、「できること」に黙々と取り組むという地道な奮闘があった。

地元徳島の「藍」をかっこよく表現したい

喜田さんは18 年に渡って土木の現場監督を務め、40 歳を機に独立して外装系のリフォーム会社を設立。お客さんが求める「カッコいいリフォームの提案」に応えるべくリサーチを続ける中で、コンクリート製のキッチンが目に留まった。元来、コンクリートは水に弱い。しかしキッチンで使われている。喜田さんの常識にはなかった使われ方をしていたことで興味を覚えたのだ。

「MORTEX(モールテックス)という画期的な材料を使っていることがわかりました。耐久性も耐水性もあり、ゴムとシリコン以外にならば使用可能。そして、真っ白なので顔料を入れれば何色にもなると。これを使えば、地元・徳島の藍を使った青いコンクリートを作れるのでは? と思ったんです」

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