【埼玉県で起業!】1人でも多くの人の悩みを希望に変えたい!〜ちいさな鍼灸接骨院の挑戦〜

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地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。池袋駅から東武東上線で電車に揺られること約15分。そこから徒歩5分の距離にある「朝霞のちいさな鍼灸整骨院」を経営している西尾正範さんは、現在3軒の鍼灸接骨院と骨盤エクササイズの運営を行なっています。東京に近い立地であるからこその悩みや、複数店舗を保つための鍵となる人材育成のコツについてお話をお伺いしました。

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ーまずは簡単に自己紹介をお願いします。

西尾)埼玉県の朝霞市で柔道整復師として、3軒の鍼灸整骨院の運営とピルビスエクサという骨盤エクササイズ教室の運営を行なっています、西尾正範と申します。今年(2019年)の6月で開業してからちょうど6年になります。

ーいつ頃から起業を考えていたんですか?

私はもともと起業ということはあまり考えていなかったんです。開業する前は10年ほど接骨院に勤めていました。そこのオーナーさんにゆくゆくは院を任せると言われていたので、そのまま働いて運営に関われればいいかなくらいに考えていたんです。その接骨院は家族経営だったんですが、急に息子さんが院を継ぎたいという話になってしまって…このままここにいても先はないと思い、独立をすることにしました。なので、独立したい!という強い気持ちがはじめからあったわけではないんです。

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自身の怪我の経験から柔道整復師

ーなぜ、柔道整復師の道を選んだんですか?

私は高校時代ラグビー部に所属していました。ラグビーは秋から大会が始まるのですが、高校3年の夏に怪我をしてしまって…最初は試合に出ることを諦めていたのですが、接骨院に通って治療を受けているうちに回復し、なんとか後半の大会には出場することができたんです。接骨院の先生ってすごいんだなと感動したのを今でも覚えています。高校を卒業後の進路を考えた時、その経験を思い出し、自分も将来はスポーツをする方のサポートができればいいなと考えました。そして、柔道整復師になるべく専門学校へ進学したんです。

ーお客さんの層はどのあたりが多いですか?

30~60代の女性が多いですね。開業当社は高齢の方がメインになるかと思っていたのですが、保険適用外にしていることもあり、思っていたよりも若い層のお客さまが多いです。いらっしゃる方は肩こりや腰痛などの悩みをお持ちの方から、妊活のために通われる方などさまざまです。女性のお客様が多いことを受け、メニューも小顔や整顔、産後のママさんへの骨盤ケアなど、少し女性に向けたものを追加しました。

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ーどうしても接骨院と聞くと保険が使えると思って来院される方も多いと思うのですが、開業当初、集客には苦労されたんじゃないですか?

ご年配の方はそうですね。中には、メニューを見て帰られるという方もいらっしゃいました。なので、最初は料金をしっかりと伝え、なぜこの治療料をいただいているのかという説明からはじまりました。でも、本当に不調を改善したいと思っている方は、施述に効果があることがわかれば来院してくださるので、そこまで保険適用であることがマイナスにはならなかったです。集客に関しては、ホームページや口コミサイトのwebを使った集客をメインに行なっていました。

私が開業した当初はwebに力を入れている接骨院ってあまりなかったので、そのあたりは差別化できていたと思います。あとはやっぱり口コミサイトの影響はかなり大きいので、良い口コミをしてもらえるように接客の言葉使いを徹底したり、お客様の2手3手先を読むように接することを心がけました。

ーwebでの集客のお話がありましたが、掲載する情報など何か気をつけたことはありますか?

先ほどの口コミにも通じるところなのですが、当院のホームページにもお客さまのお声を掲載させていただいています。やっぱり生の声はどんな宣伝よりも強いんですよね。あとは、来院前にホームページ上で院内の雰囲気が伝わるように工夫しています。スタッフ紹介では「この仕事をはじめるまでの生い立ち」や、「施術をする上で絶対に譲れないもの」をインタビュー形式で掲載していますし、どんな場所で施述を受けることができるのか、事前にわかった方がいいと思うので、施述スペースの写真はもちろん、待合スペースやトイレの写真まで掲載しています。そういう細かいところまで先にお見せすることで安心して来院いただくことができるのではないかと考えています。

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「朝霞のちいさな接骨院」HPより

スタッフのスキルをデータ化することで客観的な評価に繋がる

ー事業をされていて難しいと感じることはどんな部分ですか?

一番はやはりスタッフマネジメントですね。僕たちの仕事は物を売っているわけではないので、サービスの水準をスタッフの中で一定に保つのはなかなか難しいんです。施述はもちろんですが、患者さんに対する接客の部分などについても、個人差があるので、その辺りをうまく教育しながら進めていくのは大変でした。中でも接客の部分は、言葉使いから診療中の雰囲気作りまで徹底して教育しました。スタッフには経験者と未経験の者がいるのですが、どんな人でも3ヶ月でデビューできるように進めています。また、スタッフひとりひとりの月ごとの成果を数値化しているのでそれらを見ながら教育を行なっています。いくら研修でうまくできても実践をしなければ人はなかなか成長しないので、サポートはしつつ実践で学んでもらうことが多いです。

ー初めて人を雇われたのはいつですか?

開業してからだいたい半年後くらいですね。業界的に稼働率が6割を超えると運営が順調と言われているんですが、そこを超えてきて、自分1人では業務が追いつかなくなったので、人を雇うことにしました。
また、売り上げも安定してきていたことも人を雇うことを決めた大きな理由ですね。

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ー現在、3つの鍼灸接骨院を経営されているとうかがいましたが、2店舗目を出されたきっかけなどはなんですか?

なんとなく開業から3年までに2店舗目を出そうと思っていたんです。というのも私が所属している整体のグループのトップの方が3年で3店舗を出されたからというざっくりとした理由なんですけどね。あとは、店舗を任せられる人材が育ったというところも大きな理由の一つです。

ー店舗を任せることができるスタッフの育成となるとかなり難しいと思うのですが、何か工夫されていることはありますか?

店を任せられる判断材料としては、施述のレベル、個人が担当している患者さんのリピート率、月の施述件数など、成果管理をしているので、そのデータを元に本人と面談を行い決めています。経営者といえども人間なので、感情に左右されることもあるんですよね。そんな時にデータがあれば客観的にスタッフの能力を判断することができます。もちろんデータが全てではないですが、店舗を任せられるかなどの判断をする際のツールとして役立っています。店舗ごとにカラーが出た方がいいと思っているので、店舗ごとに内装などは基本的に任せています。よほどおかしなことになっていない限り私の方から意見をすることはないです。”1人でも多くの人の悩みを希望に変えていく”という当院の理念をしっかり守って運営してくれれば割と本人に任せています。

都内に近いからこそ必要な差別化とは

ー朝霞市は池袋から15分ともはや地方と言っていいのか疑問なのですが…この土地ならではという苦労はありますか?

東京に近いからこそお客さまが都心に流れてしまうというのは、東京近郊の地域ならではの苦労だと思います。最先端の情報もすぐに入ってきますし、東京に行こうと思えはすぐに行くことができます。なので、東京のおしゃれで洗練された内装を真似るのではなく、逆に親やすさというか、アットホームな雰囲気をつくるなどして差別化を心がけています。身近で、通いやすいというのもお客さまが接骨院を選ばれる時の基準になると思うんです。居心地のいい空間を提供できれば、自ずとリピーターとしてくださる方も増えるんですよね。

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いたるところにあるムーミンの姿に癒される院内

あとは、とにかく丁寧な接客を心がけています。まず、お客さまのお話をお聞きし、不調の原因を探るための検査をしっかりと行います。検査内容を元に、お客さまが納得して施術を受けてくださるように説明をし、あらゆる手段やアイディアを提案するようにしています。どうしても施述を受けて一時的に不調が改善されると、そのまま放置してしまうことが多いと思うんですよね。

例えば不調の元を断つためにストレッチを続けてくださいとお話してもなかなか続かないですよね…。理想は実際の生活の中に取り組める健康法を続けていくことなんですが、そこはなかなか難しい。正論や理想論を伝えるだけでは意味がないんです。なので、ストレッチのようなありきたりなものではなく、簡単に使えるグッツをお渡ししてやり方を書いた紙を渡すなどして少しでも家庭で取り組んでもらえるような工夫はしています。

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お客さまにお渡ししている自宅ケアの説明用紙

店舗を増やす秘訣は”任せられる人材”を育成すること

ー今後の目標を教えていただけますか?

人が育つことが優先なので、現状、これから一気に院の数を増やそうとは考えていないんです。人が育って、この人になら任せられるなと判断した時に増やしていければいいかなと思っています。あとは、今、ピルビスエクサという骨盤エクササイズの教室の運営も行なっています。これは接骨院だけにこだわらずに、全方面から健康な体つくりをサポートできたらという思いではじめました。まだまだ勉強中なので、もっとお客さまに良い提案ができるように頑張っていきたいです。

ー最後に、地方で新しいことを始めようとしている人へメッセージをいただけますか?

世の中にはさまざまな課題が隠されていて、その課題の中に大きなビジネスチャンズが眠っているんです。それを見つけて人とは一味違ったビジネスにすることが成功の近道ではないかと思っています。課題はいたるところにあるので、それを見落とさないように日々を生活することが重要だと思います。

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執筆者:桃井美里

(助っ人編集部)

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