【大阪府で起業!】クラウドファンディングで雑誌刊行〜ママさん起業家の挑戦!

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地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。今回は、大阪府泉北ニュータウンを拠点に、地域雑誌創刊のプロジェクトを行った甚田さんにお話を伺いました。合計200人以上が関わっており、印刷費はクラウドファンディングで588,000円を集めたRE EDIT編集部。「子どもが生まれたことをきっかけに市民活動を始めた甚田さん。子育てをしながらも、有志で雑誌を作る理由や多くの人の巻き込む秘訣は、非常に参考になりました。

地方で起業したい、活動したいけれど子どもが小さいのでどうも踏み出せない。そんな方は甚田さんの生き方を参考に一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

子どもと一緒に社会と繋がることは何か探し、行き着いた先は市民活動

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ーまずはじめに甚田さんの自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか。

甚田)甚田知世です。大阪府南部の泉北ニュータウンを中心に活動しています。今は、NPO法人に所属したり、個人事業主として働く傍、市民活動団体「泉北をつむぐまちとわたしプロジェクト」にて、まちの未来を育む読者参加型マガジン『RE EDIT』<リ エディット>を制作しています。コンセプトはまちを再編集しよう!です。

子どもが生まれ、市民活動に参加するようになったことがきっかけで今の活動に繋がっています。子どもがいると公園に行ったり、ママ友ができたりと、住んでいる場所で過ごすことが多くなり、地域を身近に感じるようになりました。地域の中で子どもも楽しめて、親も子育てしやすい環境をどう整えていくか。そう考えた時に市民活動といった選択肢を知り、参加するようになりました。

ーお子さんが生まれたのがきっかけなんですね。泉北ニュータウンにはずっと住まれてたのでしょうか。

生まれは大阪市内、育ちは堺市内でした。泉北ニュータウンは私が高校時代を過ごした場所だったんです。大阪の中心街からは30分ほどですし、駅前がちょっと栄えているだけで、駅から離れると農村が広がっているような地域。高校生の頃の私は、泉北ニュータウンで遊ぶことはほとんどなく、電車で大阪市内に通って友達と遊ぶことの方が魅力的でした。ですが、大人になり、子育てを始めてから、泉北ニュータウンが魅力的に感じるようになりました。市民活動団体が活発で、自然も多くて子育てするのにはいい環境。娘を野性的に育てたい私からすると、家の近所で木登りをしたり虫取りもできる。それにすぐ近くの農村部では無農薬野菜やお米が育てられています。今となっては魅力的なまちだと思っています。

つくりたい未来を話すことで、共感してくれる人が集まりチームになった。

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ー今制作中のマガジン「RE EDIT」はどのような内容なのか教えていただけますか。

泉北ニュータウンにあるお店の紹介はもちろんのこと、農業や建築、地域で活躍する人を紹介する雑誌です。今回が創刊号ということもあり、もともと知り合いの方を中心に取材を重ねました。

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ーマガジンをつくる上で、だいたい何人くらいの人が関わっているんですか?

編集部メンバーが私を含めて10人。それ以外にも約200人ほどプロジェクトに関わってもらってます。ただ、その全員が全ての業務に濃く関わるわけではなく、広報協力やチラシ配布、情報提供などを協力していただいている形です。例えば、地元のチアリーディングクラブに取材したいけど、先生と編集部メンバーが繋がっていない。そういう時に、先生を紹介してもらったり、これまでの大会での写真などを提供してもったりしました。もはや取材先の相手すら一緒に編集してもらうこともあったりしますね(笑)

ー巻き込み力がすごい...!編集部メンバーの方も給料が出て活動しているわけではないと思うのですが、どのように参加するようになっていったんですか。

現在、編集部メンバーは、職種もライフステージも異なる人々で構成されているのですが、メンバー自身に声は掛けましたが、自分から「一緒にやろうよ!」とは誘いませんでした。給料が出るお仕事ではないし、私も含めて自分自身が選択して成り立つプロジェクトです。なので、「こういうことやろうとしてるねん。やりたいと思ってんねん。」と雑誌プロジェクトを何のためにするのか、どういう未来をつくりたいから今動いてるかを必ず話すようにしています。その未来に共感してくれて、尚且つ自分自身で参加することを決めてくれたメンバーですので、仕事以上に頑張っている人もいたりします。有志だからこそ、自分の納得がいくまで時間をかけたり、真剣にできているのかなと思いますね。

クラウドファンディングをすることで、雑誌販売前から多くの人に認知してもらえた

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ーRE EDITを販売するにあたって、クラウドファンディングをされていたと思います。実際にやってみてメリットは感じましたか?ー

もちろん感じました。1番のメリットとしては、雑誌を販売する前から多くの人に認知してもらえたことですかね。特に私の友人やもともとの繋がりがあった人からの反応は良好でした。ただ、クラウドファンディングを実施するタイミングが雑誌完成の半年以上も前だったので、出来上がったタイミングでやればよかったなと思ってます。

ー逆にクラウドファンディングをやってみてわかるデメリットはどうでしょうか。

まだ世間的にはメジャーな資金調達方法ではないため、理解されにくいことです。SNSや巷では盛り上がっているように見えますが、一般的にはまだまだ認知度も低く、市民権も得ていないと感じました。あとは、単純にやることが増えたことですね。クラウドファンディングのリターンに追われることもあります。例えば、活動報告と議事録を1ヶ月に1度お送りするリターンを用意したのですが、そのために6ページくらいの文章を書いて校正して、送っています。小さな雑誌づくりですね(笑)雑誌づくりの合間合間に入ってきて大変でした。でも、そのおかげで、きっちりと創刊までの軌跡を残すことができました。もし、これからクラウドファンディングをして地域で活動や起業をされる方は、タイミングとリターンについては要検討して取り組まれるといいと思います。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)を軸に、雑誌を制作し続けたい

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ー今年はじめて雑誌を創刊されますが、今後も継続的に刊行していきたいという想いはありますか

もちろんあります。何を言ってるんだと思われるかもしれないですが、1年に1回の発刊を17年続けるのはどうかな?と思っています。17という数字は、SDGs(Sustainablle development goals)、日本語だと持続可能な開発目標といい、国連が定めた世界全体の目標になっています。例えば、貧困をなくそうだったり、ジェンダー平等を実現しようや住み続けられるまちづくりをといった目標が17個掲げられています。今は目標として掲げられていますが、雑誌制作の過程でSDGsに取り組み、それを継続的に発信していきたいですね。

SDGsを軸とすることが当たり前の世の中になっていくことに、RE EDITが少しでも貢献できれば良いな、と思っています。あと個人的な長期目標としては、まちの人達が9-15時で働き、15-17時は仲間と会話を楽しみ、17時以降は家族で過ごす人を増やしたいと思っています。そういう人が増えると、時間的に余裕も生まれますし、泉北ニュータウンというまちも魅力的になるのではないでしょうか。

子どもは子どもの人生、自分は自分の人生を!できない理由を子どもにしない

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ー最後に甚田さんのように、子育てをしながら地方で起業したい人に向けてコメントいただけますか。

私はシングルマザーとして子育てをしています。個人事業主で会社勤めはしていなく、フリーで仕事をして生きていけるお金を稼ぐ。子育ても並行して行い、市民活動に参加する。これって、ひとり親の女性にとっては考えにくい生き方ですよね。でも、子どもは子どもの人生だし自分は自分の人生なので。「子どもがいるからできない」という理由にするのは、子どもに対しても失礼じゃないかと思ってるんです。自分がやりたいことはやりたいうちにやらないと火種が消えてしまいますし、やりたいって思ったことは人生一回なのでやりきる。それをきっと子どもも見てくれていると思っています。

実際私が、雑誌のラフ案を描いていたら、隣で娘も真似をして描いていて、英語も書いていました。他のメンバーの子ども達自身も、雑誌づくりに参加していると認識しています。やりたいことをやれなくて親が不機嫌な状態でいるより、やりたいことやってお互い機嫌よくいる方がいい。お互いやりたいことやろうねという関係性で挑戦していけばいいと私は思っています。子どもが最優先という生活を選択するのは、本当にすごいと思います。私には真似のできないことなので(笑) でも、もし自分のやりたいことがあって、やれないのが「子育て中だから」という理由であるのなら、そこは子どもにも家族にも遠慮はせずに、自分らしく生きることに恐れずチャレンジしてみてください!

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執筆者:中村創

協力 ローカルクリエイターラボ