【千葉県で起業!】地元のクリエイターの活躍できる場をつくる!製作会社の挑戦

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地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。IT企業というと、どこか都会的なイメージがあります。しかしながら、地方にも需要が多く存在していることはご存知でしょうか。今回はUターンで地元に移住し、ホームページ制作会社を立ち上げた「合同会社NextOne」の大根代表と共同創業者である鶴野ディレクターにお話を伺いました。

地方にはデザイン制作物を扱う会社が少ない

ーはじめに、現在取り組まれている事業についてお話いただけますでしょうか。

大根:銚子市内のや市役所に向け、チラシやポスター、ホームページなどのデザイン制作物を取り扱っています。私は元々都内でデザイン関連の会社に20年ほど勤めていました。その後、銚子に戻ってから地元のIT企業で3年ほどお世話になり、3年前に鶴野と二人で創業しました。

ーお二人は元々知り合いだったのでしょうか。

大根:実は高校時代に同じ剣道部に所属していた同級生なんです。鶴野がキャプテンで私は普通の部員という関係でした。創業する前に鶴野と話したところ、共同で創業することになりました。

ー鶴野さんも元々デザイン関係の仕事をされていたのでしょうか。

鶴野:私は元々建築関係の仕事をやっていました。実は、このオフィスの内装は全て私がデザインしています。 始めは全く異なる業界で大丈夫かと不安もありましたが、やってみると前職と通じる部分が多くて。画面構成の設計は建築で図面を引くことと同じですし、ホームページの制作は建築と重なる部分が多いと思います。 また、弊社では賃貸物件のリノベーションデザインも請け負っているので、そこも僕が担当しています。

ーオフィスデザインからホームページ制作までワンストップでできるんですね!これはなかなかないサービスですよね!

鶴野:そうですね。なので銚子で起業するときは是非ご依頼ください(笑)あとは、案件のスケジュール管理等も私が行ってます。

ー元々お二人とも銚子のご出身とのことですが、大根さんはなぜ一度外に出て戻ってこようと考えられたのでしょうか

大根:一番は家族の都合もあったのですが、同時に自分が東京で培ってきたことを生まれ育った地元で活用できればいいなと考えていました。銚子市内を見渡した時、事業者はたくさんいるにも関わらず、ホームページ政策会社が数社しかいないことに気づいたんです。そこにマーケットがあると考え活動をはじめました。

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地域のクリエイターと共に地元へ貢献する

ー競合他社と異なる点などはありますか

大根:当社では、現在3人でチームを組んで制作をしているので、ディレクション部分は比較的厚いサポート体制が整っていると考えています。また、都内のデザイン会社と比較すると、対面での打ち合わせが必要になった際の対応スピードという観点で、地理的な強みもあると思います。

ー制作依頼は多いのでしょうか。

大根:ホームページデザインの仕事からというのもありますし、最初は名刺の制作からといったこともあります。打ち合わせを通じて少しずつ信頼関係を構築していき、当社のメイン事業であるホームページ制作のお仕事も頂くといったステップを踏むことも多いですね。

ー名刺の他にも何か印刷物はやられていますか?

大根:実は私が元々印刷物の制作をしていたこともあり、ポスターやチラシ、パンフレットなども制作しています。とはいえ3人でできることは多くないので、近隣のカメラマンやムービーメーカーなどのクリエイターさんと協業している状況です。普段彼らは結婚式やイベントなどの仕事が多いのですが、我々が持ち込む中小企業様のパンフレットや紹介映像の案件でも喜んでいただいています。

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ー地元の方の活躍の場を広げられるのはすごいですね!

大根:極力地元のクリエイターさんを尊重して活動を行っていこうと考えています。どの方も技術力があるので、とても信頼しています。

ーどういった依頼が多いんですか?

大根:多種多様なんですが、例えば、10年間更新していなかった会社概要を新しくして欲しいという依頼だったり、広報活動に力を入れていなかった会社にヒアリングをしたら、「やっぱりこうしたい!」という要望がどんどんでてきて、お手伝いをすることになったということもあります。

ー顧客ごとの異なる要望にそれぞれ応えようとすると、価格設定がかなり難しいのではないでしょうか。

大根:インターネットで調べると相場が出てくるのでそれと同じくらいの価格に設定しています。ただ、 ワンストップでやっていたりお客様との物理的な距離が近いこともあり、かなりリーズナブルな価格設定になっていると自負しています。 ただ、中にはホームページ制作が安価で容易にできるものと勘違いされるお客様も少なくなく、見積もり価格に驚かれることもあります。当社では細かなところまでご要望にお応えしており、月をまたぐようなプロジェクトになる場合もあるため、しっかりとご説明させて頂いております。 どうしてもイメージがつかないようであれば ,Facebook や Instagram など、費用もかからず自分たちで更新可能な SNS などをまずはご提案しております。

ー 集客に関してはインターネットなどでの取り組みが多いのでしょうか

大根: 今のところチラシや広告なども打たず、知り合いや口コミで広がっている状況です。創業当時より大々的に活動することは考えておらず、ひっそりと続けていこうと話していたので(笑)

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ー現在どの地方でも人口減少が問題となっていますが、それに伴って客層などはどう変化していくとお考えですか?

大根:確かに人口減少と共に企業の数も減っていく可能性はあります。しかし、事業数が減少したとしても、まだまだ需要は残っていると考えています。先ほども申しました通り、規模の大小を問わず、事業者数の割には制作会社が少ないです。したがってまずは地元企業のホームページ等のデザインの見直しを行い、需要が満たされた後に人口減少の問題に着手して行けば良いと考えています。 当社は3人で仕事をしているため、現状多くの案件をこなすことは難しいです。そのため、今は確実性の高いものに絞って取り組んでいます。

ー現在事業をされている中で難しい点や課題と感じている点はありますでしょうか?

大根:2人で創業したときも感じていましたが、案件数と比べて社内のクリエイターが少ないんです。そのため、対面での打ち合わせが可能な地元周辺の外部クリエイターに依頼しています。 昨今ではチャットなどを使ってリモートワークをするということが増えてきていますが、やはり気軽に面と向かって打ち合わせができることが弊社の強みだと考えているので、対面で対応できるスタッフを増やしていくことが今後の課題ですね。

ー地方で新しい事業を始めようとすると地元の方になかなか受け入れてもらえなかったという話を聞くのですが、そのあたりはいかがでしたか?

大根:うちで扱っているものは形のある商品ではないので、身内からは何をやっているのかと不審がられました(笑)ただ私も鶴野もある程度人生経験は積んできているので、そこを認められてか、大きな反対はなかったですね。地域の方ともうまくやれていると思います。 一昨年から一般社団法人 銚子青年会議所にも所属して活動しているので、そういった繋がりからもお仕事を頂くなどと、地域の方との信頼関係は築けていると考えています。制作会社というとPCをカタカタとしているイメージですが、我々は結構体を使っていますね(笑)

ーなるほど。銚子は結構受け入れ体制が整っている地域ということですね。

大根:そうですね。私達も依頼を断らないスタンスなので、それもうまく溶け込めている一つの要因かもしれません。不便に感じることよりもやりがいのほうが大きい

ー銚子のどういったところに魅力を感じていますか?

大根:個人的には飯沼観音があるところです(笑)東京にいた頃たは知らなかったのですが、あらめて銚子で暮らしてみると、こんな素敵な所があったんだと再確認できました。このオフィスを選んだのも、作業スペースから五重塔が見えるからということで即決しました。

鶴野:私はずっと銚子に住んでいて、当たり前のように海の恵みを享受していたのですが、そういった我々にとって普通なことが実はありがたいことなのだと思っています。

大根:たしかに!夜に居酒屋行っても、めちゃくちゃクオリティが高い!(笑)野菜も美味しいし、こういったことが普通になっているのはありがたいです。

鶴野:地元民からすると当たり前のことでも外部の方からすると非常に大きな魅力であることは多々あるかと思います。

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ー確かに住んでいるからこそ気づけない魅力ってありますよね!銚子で起業してよかったことと、逆に大変だなと感じることはありますか。

大根:長年住んできた地元の企業や行政から依頼いただいているので、間接的ではあるものの地域貢献ができている点でやりがいがあります。また、家族や親しい人達が近くにいるというのも大きなメリットですね。仕事をしていると精神的にも疲れることはありますが、近くに旧い友人や家族が近くにいるとまた頑張ろうと思えます。

デメリットは、都会で仕事をしていると当たり前にできていたことが出来ないことにですね。特に物流については不便さを感じることはあります。例えば印刷物の色見本を取ることに中2日かかりますとか。恵比寿だったら30分で手配できるのに(笑)ただ、総合的に考えるとデメリットというよりかはメリットの方が大きいですね。

ー地方にいるとなかなか情報収集が難しく、技術などのキャッチアップも一筋縄ではないのかなと察しますが、そういった実感はありますか?また何か対策などは取られていますか?

大根:あまりないですね。都内のクリエイターや友人と繋がっているので、定期的に都内に足を運んで情報交換ができています。銚子から2時間ほどあれば都内まで出られるので、距離的な不便さもさほど感じていないです。 また、インターネットの学習サイトを活用して技術のキャッチアップも行えています。

人との繋がりを大事にする

ーお2人に伺いたいのですが事業されていく上で一番大事にしていることは何でしょうか。

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大根:とにかく良いものを作ることです。丁寧に作ることを心がけています。また顧客との信頼関係を強固なものにできるようにコミニケーションを頻繁に取るように心がけています。

鶴野:webデザインとはいってもPC上だけで完結する仕事ではなく、弊社のサービスを受けるクライアントさんや、その先のユーザーさんのことまで考えることが重要です。なので僕も大根が言ったように、コミュニケーションには特に気をつけながら常に行動しています。

大根:こういった事はやはり地元ならではないでしょうか。若者を支援して、銚子全体を盛り上げたい

ーお二人が将来的に達成していきたい目標などはありますでしょうか。

大根:ホームページ制作の事業と並行して、銚子周辺で印刷物やホームページ制作を仕事にしたい若い人を支援していきたいです。色々な可能性を提示することで若い人たちの視野や仕事の選択肢が広がっていけたら良いなと思っています。

鶴野:私も大根が言った事と近いのですが、銚子周辺で起業したいと考えている若者が増えていけば良いなと思っております。もし我々がそういった若者のバックアップができるのであれば、もっと銚子が盛り上がってくのではないかと考えています。

ー最後に、これから地方で起業を考えている方や新しいことに挑戦しようとしている方に何かアドバイスをいただけないでしょうか

大根:まずは小さなスタートでいいので、やりたい事があるのでなら1歩踏み出すことです。

鶴野:「Next One」という社名は、次の一手という意味が込められています。決断だったり勇気だったり、もう少し自信を持つことができれば次の一手にコマを進めるのではないでしょうか。最初の一手さえ踏み出してしまえば、あとは自分でやっていけるのではないかと思っています。

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執筆者:鈴木彰

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