「サバイバルゲーム」で放置された山林を活用:INACOMEビジネスコンテスト受賞者インタビュー

INACOMEでは、ビジネスモデルからはくみ取りづらい起業者の想いやビジョンを広く知っていただくために、INACOME参加起業者のインタビュー記事を掲載します。今回は、令和3年度INACOMEビジネスコンテストにおいて、「サバイバルゲーム」で放置された山林を活用のテーマでプレゼンを行い、特別賞を受賞した株式会社フォレストーリー渡部真之助さんにお話を伺いました。渡部さんはみんながワクワクするような森林の活用方法を提案しながら、新しい林業を創り出す活動を行なっています。

1年の実証実験で信憑性が増し、2度目の挑戦で受賞

――2度目の挑戦だったと聞きましたが、まず1度目のチャレンジはいかがだったでしょうか?

1度目の時は、まだ事業をスタートさせて間もない時期でした。実証実験も開始したばかりで結果などが欠けており、信憑性が足りていませんでした。ただこのまま1年間続けていれば、次は受賞できるだろうなという感覚は正直ありました。

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――2度目の時は実証実験の結果が見えてきて、説得力が増しての受賞となったのですね。

やはり1年の積み重ねによって数字の部分などが言えるようになり信憑性が上がったと思います。またその時期に普通のサバイバルゲームとは異なり、赤外線を使用した子ども向けイベントも開始しており、子ども達に森林で遊んでもらい、森に親しみを持ってもらうというような事業も発表に盛り込めたのが大きかったですね。

コンテストは自分たちのビジネスを知ってもらう場

――「特別賞」を受賞されてから反響などはありましたか。

同時期に地元のコンテストなどでも賞をいただきましたが、やはり農林水産省(以降、農水省)が関与する全国規模のコンテストということもあり、周りの反響が一番大きかったと思います。取材依頼もありましたし、他の受賞者の方と一緒に雑誌の編集長と「地域活性化」をテーマに話す配信イベントに参加したのも反響がありました。

また、農水省の方を通して新しい機会をいただいたり、林野庁の方との情報・意見交換の場に呼んでいただいたり、事業における課題について農水省内の別部署の方を紹介いただいたりと、手厚くサポートいただいています。

結果はどうであれ、農水省の方をはじめ多くの方に自分たちのビジネスを知ってもらうのに、INACOMEのコンテストほど素晴らしい場はないのではないかと思っています。まず知ってもらい、そして発信してもらう土壌がありますし、またあの場で一緒に発表した人たちとコミュニケーションが取れたことも財産になりました。

1つの手段だった「サバイバルゲーム」から「地域活性」という新しい展開へ

-―発表から約1年経ちましたが、発表当時の計画から変化はありますか?

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長野県千曲市で開催されたワーケーションイベントの1つのコンテンツとして森林レクリエーションの依頼を受け、親子で参加できる赤外線を使用したサバイバルゲームと林業の現状や課題を話すイベントを開催しました。

この経験から、今までは自分たちでフィールドを構えてイベントを行うことが軸になっていたのが、森の中の遊びというところから森に親しみを持ってもらい、何か考えるきっかけにつながるというところは変えずに、フィールド以外にも展開することが出来ると実感しました。

この縁で新たなフィールドとして長野県内で2箇所の候補地があり、お借りできるような見通しが立ちそうです。

――発表時にはサバイバルゲームを中心に据えたツアーの話もありましたが、この辺りは進みましたか?

壬生町の住民の方からお借りした古民家を宿泊できるところまで準備が完了し、近隣の観光としていちご農家の方などと繋がりが出来ているので、「アドベンチャーツーリズム」としてなるべく早く実現させたいと思っています。

また千曲市のイベントでの出会いから、城跡を利用したサバイバルゲーム開催の依頼や、使用していない行政施設のイベント活用など、森に限らずお声がけをいただいています。もともと森のことを知ってもらいたいと始めましたが、「サバイバルゲーム」というさまざまな環境下で行えるイベントで、その土地に来てもらうような「地域活性」というところも今後は取り組んでいきます。

最後に、私たちは人と山をつなぐ架け橋のような存在になりたいを思っています。人々が山が好きになり、人と山が元気になることが私たちの目指す未来です。

<リンク先>

・株式会社フォレストーリーWebサイト(外部Web)