民泊で条件不利空家の有効活用:INACOMEビジネスコンテスト受賞者インタビュー

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INACOMEでは、ビジネスモデルからはくみ取りづらい起業者の想いやビジョンを広く知っていただくために、INACOME参加起業者のインタビュー記事を掲載します。今回は、令和3年度INACOMEビジネスコンテストにおいて、「若者を農村に呼び込むありのまま民泊の推進」のテーマでプレゼンを行い、特別賞を受賞した合同会社ダイバーステイ代表の村山大樹さんにお話を伺いました。村山さんは、栃木県小山市で空き家を活用した民泊事業を行なっています。

気づいていなかった自分の事業の価値

――昨年度の「INACOMEビジネスコンテスト」への参加のきっかけを教えてください。

私は、2019年から昨年まで栃木県小山市の地域おこし協力隊として市役所に所属しており、そこで行政の方より「コンテストに出てみないか」とお声がけいただきました。それまでコンテストなどに出たこともなく、自分がビジネスでコンテストに出るステージにいるという認識もなかったのですが、せっかくなので試しに出てみようと参加を決断しました。

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――コンテストに参加してみていかがでしたでしょうか。

まず資料作りを通して、自分のこれまでの活動を振り返るきっかけになりました。どうしてこの方向性で動いているのか、過去、現状と整理し、今後の展開をきちんと説明できるように自分自身が考えるきっかけになったと思います。また、いろいろな方に協力してもらい、支えてもらってきて今があるということも改めて感じました。

コンテスト当日は、発表後に1時間ほど審査員や一緒に最終審査に参加した方と話しをする時間があるのですが、そこで自分では気づけていないビジネスの価値を知ることができました。発表では単純に「空き家」としていたのですが、実際は単なる空き家ではなく再建築不可など「条件不利空家」と呼ばれる空き家を積極的に活用しています。

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条件不利空家は、販売や賃貸などの再利用が難しく放置されがちで、近隣住民の不安材料にもなります。その物件を私たちがお借りして管理することで、持ち主にとっても近隣住民にとっても安心につながります。条件不利空家の活用に当たり初期費用はかかりますが、賃貸価格を抑えることができます。当日資料ではこの説明を削っていたのですが、交流会で話したところ、「社会問題となっている空き家の中でも特に条件不利空家というコア部分に取り組んでいて、地域課題に貢献できている大きな評価ポイントだ」と言われました。それから人に事業を説明する際には、この部分を前面に押し出しています。

得られたのは「機会」、「信用」と全国レベルでの「出会い」

――「特別賞」受賞されてから反響などはありましたか?

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大きかったのは、地元紙に受賞を掲載いただいたことです。条件不利空家というのは不動産の流通市場に出ないので物件を見つけることが難しいのですが、新聞に掲載されることにより私たちの事業を多くの方に知っていただき、物件を紹介いただくような機会にもつながります。また、農林水産省が関与している全国規模のビジネスコンテストで賞をいただいたということが「信用」にもつながっていると実感しています。

さらに最終審査や交流会で、全国レベルで頑張っている人たちの話を直接聞けたことで学びにもなりましたし、SNSで繋がってその後も相談したりコラボの話しが出たりと、切磋琢磨できる人たちに出会えたのが一番の価値だと思っています。

近隣地域へと活動を拡大していく

――発表から約1年経ちましたが、発表当時の計画から変化はありますか?

3軒の運営予定を発表しましたが、予定通りに進んでいて、来年4月頃に4軒目を隣の栃木市にオープン予定です。当時は夫婦2人ですべて行っており、発表で3軒目オープンに合わせて地域の方を1人雇用予定と話しましたが、現在は働きに出づらい小さい子を持つママさんなど7人の地域の方々と連携し、施設の清掃を担当してもらっています。

――順調に事業を拡大されていますが、今後の展開を教えてください。

空き家問題は当然日本全国どこにでもある問題ですが、地域柄もあり全てが同じ手法で解決するわけではないと考えています。そこでまずは小山市を中心に栃木県南部で展開していきます。

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<リンク先>

・合同会社ダイバーステイWebサイト(外部Web)