資金調達の種類、方法、メリット、デメリットまとめ【2019年7月更新版】

INACOME

資金調達の全体像を理解しよう!

起業を考えている方の大きな悩みになるのはやはり資金ではないでしょうか。できるだけリスクを低くするために、起業の際のコストは可能な限り抑えたいと考える人は多いでしょう。しかし、ビジネスの種類によっては、ある程度の資金がどうしても必要となってしまう場合もあります。また最初は小さく事業をスタートしたとしても、事業が拡大していくにあたって資金が必要になったり、最初に投資をするような事業の場合には自己資金だけでは、なかなか事業が立ち上がらないということもあります。近年、起業を応援する新しい会社やサービスが増えてきています。それに伴い資金調達の種類や方法も本当に多様化しています。このページでは資金調達の全体概要と、それぞれのメリット、デメリットなどを丁寧に解説したいと思います。

やっぱり自己資金で起業するのが一番?

起業のための資金として、もっとも理想的なのはすべて自己資金でスタートすることです。借入をする場合と比較すると、自分のお金ですのでリスクは最少限となります。また、自己資金で起業することのメリットは返済や金利負担もないので、この点もそれだけ運営が楽になるのです。ただし、見方によっては自己資金のデメリットも存在します。一番は自分の持っている資金の量は限られているということです。自己資金を貯めることにも時間がかかってしまいますよね。時は金なりといいます。

また、事業はタイミングも大切になりますので、有り得ないと思いますが、お金がなかったのでタイミングを逸したなんてことがあってはいけません。小規模な事業での起業の場合はできれば自己資金という選択肢がもっともリスクは低いと言えるでしょう。中小企業向けファクタリングプログラムもありますので、選択肢として検討してもよいかもしれません。

INACOME

(エンナビの詳細を見る)

事業の目的や事業モデルで資金調達の方法が変わるということ

ベンチャーやスタートアップ

非連続的な成長、世の中や業界を変えるような目的で事業をしている会社があります。ベンチャー企業やスタートアップの場合には、タイミングやスピードが極めて重要になりますし、その性質上、開発先行型になることがほとんどなので、事業スタート当初より多額の資金が必要となり、一般的には数年赤字期間があり、途中で黒字化していくという形になります。そのためベンチャー、スタートアップの場合には、資金がかなり必要となるわけです。ただベンチャー、スタートアップは基本赤字なので、銀行からの借入は受けにくい事業モデルです。そのため、エンジェルや個人投資家、ベンチャーキャピタルなどからの出資が馴染みやすいです。

スモールビジネス

ベンチャーやスタートアップでない事業をスモールビジネスと言います。飲食店を渋谷で1店舗スタートする、弁護士事務所をスタートするなどです。このようなスモールビジネスの場合には、数年間赤字ということは許されません。独立、開業してすぐすぐから売上がではじめ、黒字化を目指さなくてはいけません。スモールビジネスの場合は、ベンチャーやスタートアップに比べて、売上が当初からあるケースが多いので、銀行などからの借入が馴染みやすいです。詳細は後で書きます。

その他、最近注目されている資金調達方法として、クラウドファウディングなどが出てきています。クラウドファンディングや補助金、助成金などは事業モデルとはあまり関係はありません。資金調達にはメリットやデメリットなどがありますし、会社や事業モデルによっては相性もあることをぜひ知っておいてください。

資金調達の種類、方法、メリットやデメリット

資金調達方法1.友人や家族などからの借入

借入ということなので、こちらはいつか返すということになります。友人や知人、家族などから借入をして、事業をはじめる人は多くいます。大きなメリットとして、自由な条件でお金を借りることができます。銀行などの借入と比べると、金利面や返済条件などは一般的には融通が利きやすいです。デメリットですが、個人間での契約の場合、その関係がこじれてしまうとトラブルになってしまう可能性があります。

個人の状況に依存することもあり、貸してくれた個人の状況が何らかの原因で悪くなるとすぐに返済を迫られたりするかもしれません。また、返済できなくなった場合、関係性次第ですが、絶縁や裁判のような形になってしまいます。さらに、親族からお金を借りての起業の場合、その身内でビジネスにおけるリスクを共有することになってしまいます。

資金調達方法2.ファクタリング

「ファクタリング」は、事業資金を手に入れる為、融資や借入のような「お金を借りる」ということと非常に似ているのですが、ファクタリングの場合は「売掛金を買い取ってもらう」という内容です。つまり「ローン・貸金」ではなく、「売掛金の売買」となります。

売掛金とは:納品・サービス提供が完了しており既に請求書を出しているが、支払いサイトの都合によりまだ入って来ていないキャッシュ

ファクタリングを検討するなら、

INACOME

・エンナビ

・資金調達のプロ

がオススメです。

資金調達方法3.日本政策金融公庫融資=創業融資での借入

日本政策金融公庫は、国が100%出資している金融機関です。創業者のための銀行です。民間の金融機関では、まだ実績がない、どうなるかわからない=返済できるかわからない会社などに、リスクを取って融資する必要がなくなっていってしまいます。しかし、それでは、創業した会社などに全然資金が回ってこなくなってしまうということで、国の支援の一環として日本政策金融公庫があります。

資金調達方法4.信用保証協会の融資=制度融資での借入

信用保証協会は国の機関で、銀行が創業者に融資して、もし創業者が返済できなくなった場合のリスクを銀行に代わって負ってくれる機関です。そのため、銀行が融資しているようにみえますが、創業者向けの融資の多くは信用保証協会を使っている融資になっています。

資金調達方法5.プロパー融資での借入

プロパー融資は、銀行固有の融資のことです。信用保証協会がつきません。信用保証協会がつかないということは、銀行が自らのリスクの下、会社や事業に対して融資をするわけです。しかし、独立、開業したての会社などには、なかなかプロパーでの融資はされません。理由は簡単。銀行は融資したお金を返してもらわなければいけません。そのため返ってくる可能性の高い融資先にしか貸さないわけです。

ただ、最近は銀行を管轄する金融庁の方向性などもあり金融機関の在り方がかなり見直され変わってきています。創業期であってもプロパー融資をする金融機関も出てきています。日本政策金融公庫、信用保証協会、銀行からの借入のメリットは、友人などとの場合と比べて、お金に色がついていないこと、ある意味、ビジネス上の付き合いですので元金+金利さえ返すことができていれば最低限OKとなるということがあります。デメリットは、担保や保証人の縛りによって会社が借入を返済できない場合に、個人にその返済が迫られるということがあります。

資金調達方法6.エンジェル投資家、個人投資家からの出資

エンジェル投資家や個人投資家という言われる人から出資を受けるという方法があります。どんな人がエンジェルや個人投資家なのかというといろいろな人がいます。一般的には、自分自体が投資をする前に、もともと、ベンチャー、スタートアップの起業家で、その会社が上場(IPO)したり事業などを売却したことによって、多額のお金を手に入れて、その資金を使ってベンチャー、スタートアップの支援をしているケースがよくあります。

エンジェルや個人投資家から出資を受けることのメリットは、まずは返済不要な資金ということです。この点が銀行をはじめとする借入と決定的に違うポイントです。返済不要な資金のため、借入と異なり元金返済など気にしなくてよいのです。金利などもありません。ただ、出資を受ける場合には、株式と交換の形で資金を得ます。会社における株式というのは、会社そのもの=会社の所有権ですので、自分の身体の一部を渡しているようなものです。

株式の持ち分割合(=所有割合)によって、会社に対して行使できる権利が決まっています。出資を受ける場合には、このことをしっかりと理解しつつ、また、出資を受けるということは、基本的には、ベンチャー、スタートアップ系の事業モデルのケースが多く、ベンチャー、スタートアップ系は、上場(IPO)か事業を売却することが投資家から求められます。上場や事業売却までの事業計画や、資本政策をしっかりと考える必要があります。

また、借入は最終的にはお金を返す+金利で相手の利になっているわけですが、出資の場合には、お金が返ってくるかわからないリスクが借入に比べて断然高まるわけです。株主にもなるわけです。そのため、借入の場合よりも、会社経営に対しての関与が高まります。(投資家次第なので全く関与しない人もいれば、逆も、中間なども然り)ポジティブな関与であれば大歓迎ですが、変な投資家を入れてしまうと、投資家のメリットになるようなこと、投資を受けた会社のためにならないことをガンガン言ってくるということもあります。要注意が必要です。これまでの経験や人脈などを出し惜しみなく、提供してくれる投資家もいますし、本当に資金だけ出してくれて、あとはノータッチという投資家もいます。何が良いかは会社の判断です。

資金調達方法7.ベンチャーキャピタル(VC)からの出資

エンジェルや個人投資家と基本的には同じとなります。ただベンチャーキャピタルは、それ自体が自分の本業です。エンジェルや個人投資家の場合には、仕事としてベンチャー投資をやっているというよりもライフワーク的に投資活動をしている人も多くいます。ベンチャーキャピタルの場合には、それが本業ですので、友人知人、家族と銀行との借入の違いに似たものがあります。つまり、お金に色がついていないということです。

また、ベンチャーキャピタルの場合には、本業ですので、何が何でも投資先を勝たせる=上場や事業売却に持っていくために、いろいろな力添えをしてくれます。(ここはエンジェルや個人投資家でもいますし、逆にベンチャーキャピタルでも何もしないところもあります。)ベンチャーキャピタルも、近年本当に数が増えています。資金を出す以外の、支援の方法や、特化型のベンチャーキャピタルなども出てきています。ベンチャーキャピタルはファンドを組成して、それぞれのファンドに償還期限という、ファンドの寿命のようなものがあります。一定期限内で結果を出すことが求められます。

ベンチャーキャピタルは本業として、投資をするわけなので、もちろん自社に優位な条件で投資をしようとします。ある意味、事業評価について(実際の力はさておき)のロジックや経験などは百戦錬磨で理論武装などもしてきます。そのため、経験や知識で一般的に若い起業家はベンチャーキャピタルに負けてしまうので、不利な条件で投資契約をしているケースも散見されます。

資金調達方法8.補助金や助成金による資金調達

どちらも、融資とは違い、原則返す義務はありません。また、基本的にどちらも後払いとなります。

助成金については、資格の要件を満たせば助成金を受給できるのに対し、補助金の場合は、事業計画をしっかり立てたり、その資金を何に使うのかなど必要である事をアピールするなどの必要があります。助成金は、厚労省が予算を持っています。→人の採用や人事制度などの変更に対して受給できるものになります。補助金は、経産省系のものが多いです。→設備投資などに対して受給できるものが多いです。

どちらもすぐに受給できるわけではなく、厳格な要件が定められています。不正受給も多くなってきているので、申請などのハードルが高くなっていますし、一般的に半年~2年近く受給までに時間を要することもあります。すぐすぐの足もとの資金調達という意味では使えるものではありません。

[PR]助成金を調べるなら

みんなの助成金

資金調達方法9.クラウドファンディングでの資金調達

簡単に言うと、インターネットを使い、不特定多数の一般の個人の方々から、小さなお金を集める資金調達の方法です。クラウドファンディングとは、クラウド=群衆からお金を出してもらうという意味です。今までは、一般的には、企業が銀行などからお金を借りるという、BtoBの取引が一般的でしたが、インターネット、スマホの普及などによって、BtoCでの資金調達の方法が出てきたわけです。(CtoCとなる場合もあります。)クラウドファンディングも多数の会社が参画をし、いろいろな特徴のあるサービスを展開しています。

「商品購入型や寄付型のクラウドファンディング」

企業や個人が、新しい商品やサービスをつくる際の資金を集め、目標金額に達したら、その見返りとして支援者に対し、負担してくれた金額に応じたリターン(商品やサービス)を提供するものです。

事例として、皆さんがご存知のメジャーリーガー、イチロー選手の例を上げてみましょう。これは企業への資金調達等の目的として生み出された物ではありませんが大変おもしろいです。イチロー選手のファンであるエイミー・フランツさんと言う女性がいます。この方は、イチロー選手の安打数を数える「イチメーター」と言う手作りボードを作りました。2004年からイチロー選手を応援し続け、イチロー選手が他の球団に移っても「イチメーター」を持って各地を回り応援し続けていた方です。この「イチメーター」はテレビで特集が組まれる事もあった程、有名なものです。しかし、応援する中で問題となったのが、メジャー通算3000安打を目の前にした時、応援先に向かう為の旅費でした。

イチロー選手が所属していたのはマイアミで、エイミーさんが住んでいるのがシアトルの為、かなりの距離があるのです。そこで、彼女は「クラウドファウンディング」を使用し、インターネットで旅費に対する資金を募りました。すると、最終的には倍額以上の資金が集まったのです。これも、エイミーに対し共感し、資金を出した皆さんがいて成立したものと言えます。クラウドファウンディングは、このような事にも使う事ができ、まさに多様化した形と言えるでしょう。

また、企業として、朝日新聞のクラウドファウンディング「A-port」があります。「A-port」では、プロジェクトの起案者の事を「起案者」とし、支援する人を「支援者」と呼んでいます。そして、資金を援助する事により、支援者が貰える特典の事を「リターン」と呼んでいます。形としては2つに分かれており、「達成時実行型」と「実行確約型」に分かれています。「達成時実行型」は、目標の金額を達成した場合に資金を受け取る事ができます。一方、「実行確約型」は目標の金額に達成しなかった場合にも、調達した資金を受け取る事が可能です。このように、目的によって、使い分ける事が出来るシステムとなっております。

代表的なプラットフォームは

・CAMPFIRE

・MAKUAKE

「投資型のクラウドファンディング」

ファンディーノをはじめ、法改正によって商品購入型でなく、株式との交換=出資の形で資金調達できるクラウドファンディングも出てきています。投資型のクラウドファンディングは、出資となるので、エンジェルや個人投資家、ベンチャーキャピタルの部分の注意事項を必ず意識するようにしてください。

また、クラウドファウンディングには、支援者と起案者にとって、リスクも存在します。支援者の場合、例え目標の金額に達成したとしても、資金や技術の面が、そもそも起案者の見通しの甘さなどによりプロジェクトが達成されず、支援者にリターンが出来なかったケースなどがあります。

また、起案者側にとっても、そのプロジェクトに責任を持たなければなりませんし、もしもプロジェクトが失敗に終わってしまったら、自分で責任を負わなければなりません。目標にしている金額や、計画などをしっかり明確にし、そこに不備がないかどうかなども十分に思案する必要があると言えるでしょう。

資金調達方法10.私募債(しぼさい)による資金調達

一般的には、証券市場で、多くの投資家に発行している公募債とは違い、個人や会社と関係ある特定の少ない相手などに対して発行する社債の事を言います。わかりやすく言えば、小規模での資金調達と言うイメージです。社債は株式とは違います。新しい株を発行するにも、公募と私募があるのですが、私募債の場合は社債を発行する事になります。

資金調達方法11.M&A

M&Aの手法を用いて、会社や事業を売却する形でも資金調達できます。経営状態が良かったり将来性の高い事業を行っていれば、一度に多額の売却利益を獲得できる可能性があります。また株式譲渡という手法を活用すれば、通常の事業運営で得られる利益と比べて支払う税金が少なく済む場合もあります。ただし必ずしも売却相手が見つかるとは限らない上に、相手が見つかったとしても希望の条件で売却できるとは限らないデメリットもあります。

資金調達方法12.新株予約権

新株予約権とは、任意の会社の株式を交付してもらえる権利であり、新株引受権やストックオプションなどの総称です。一般的にはベンチャー企業が優秀な人材を雇用する際や、従業員のモチベーションを向上させる目的で導入されます。そんな新株予約権ですが、資金調達方法としても活用することができます。新株予約権が付いている社債は、通常の社債と比べて資金を出す側から見た魅力が高くなります。よって新株予約権を社債に付加することで、より資金調達を行いやすくなったり融資の条件を緩和してもらいやすくなります。ただし新株予約権が行使された場合には、株式の希薄化(≒一株あたり価値の低下)が生じるため、資金調達の際にはあらかじめ留意する必要があります。

資金調達方法13.ビジネスローン

ビジネスローンとは、個人事業主や中小企業を対象とした無担保ローンの総称です。信用保証協会の融資やプロパー融資などは、条件が厳しいため個人事業主や中小企業では利用できない可能性があります。一方でビジネスローンは無担保で利用できる上に審査も甘いので、比較的誰でも事業に必要な資金を調達できます。通常の融資を利用できない企業でも資金調達できるのは大きなメリットですが、金利が比較的高いというデメリットもあります。金利が高いため返済が長期化すると負担額が大きくなったり、資金繰りが悪化する恐れがあります。

資金調達方法14.流動資産担保融資(ABL)

流動資産担保融資(ABL)とは、その名の通り在庫や原材料といった流動資産を担保にする資金調達方法です。売却に至るまで用途がない流動資産を有効活用できる点や借入可能額が比較的大きい点は、ABLを利用して資金調達する大きなメリットです。一方で、売上に直結する在庫や原材料が金融機関の管理下に置かれるため、自由に在庫や原材料を使用できなくなるリスクが残るので注意が必要です。

資金調達方法15.従業員から借りる

ある意味最終手段にはなりますが、従業員から借りるのも一つの手です。従業員との信頼関係があれば、金融機関から借りる場合よりも低金利で資金調達できる可能性があります。また従業員側から見ても、多少なりとも利息を得られる点は魅力的です。しかし一方で、万が一計画通りに利息や元本を支払えないと、従業員のモチベーション低下や離職を招くおそれもあります。従業員から資金調達する際には、あらかじめ信頼関係を構築しておくのはもちろん、計画通りに元本や利息を支払うようにするのが大事です。

募集情報