働き方の多様化が進み、コワーキングスペースを活用する働き方にも注目が集まっています。起業手段として地方でコワーキングスペースを開所する人も増えてきたようです。うまくコワーキングスペース事業を回すには、どのような点に気を配ればいいのでしょうか。今回は、地方でのコワーキング事業で気をつけておきたいポイントを解説します。
コワーキングスペース事業をするには、その立地も大きな課題になります。ビジネスパーソンが集まりやすい場所でなければ意味がありません。その一方で初期費用やランニングコストとのバランスを取りながら選定していくことも大切です。一般的には商店街や市街地など、人が多く行き来するところにあるほうが、利用者は集まりやすい傾向があります。ただ、地方の場合は、車を所有している人も多いことも考えられるため、その場合は、駐車場の有無がかなり利用状況を左右してくるでしょう。 十分な駐車場スペースまで隣接完備できることが理想かもしれません。自社スペースでなかったとしても、近隣のわかりやすい場所に、できるだけ安く停められる駐車場があることが大きな要件となるでしょう。
電車や地下鉄など公共の交通機関の利用度が高いところであれば、駅近くで探すことがポイントです。利用者の営業拠点になりやすい地区内でアクセスの良いところというのも視野に入れる価値が高いかもしれません。 いずれにしても、わかりやすい通りに面していたほうが、見つけてもらいやすいですし、道案内もスムーズになるはずです。地方の場合、地理的には、ある程度広範囲からの利用者が見込める可能性も高くなると考えます。ですから、地域的なニーズを汲み取った立地に開所できるかにかかってくるでしょう。
利用するビジネスパーソンが仕事を進めやすい環境をつくっておく必要があります。 それが実現できなければ、そもそも人に来てもらうこともできないでしょう。 コワーキングスペースは、単なる仕事用のレンタルスペースになってしまってはもったいないのですが、まずは、仕事ができる環境を整えておくことが先決事項になります。コワーキングスペースは、ビジネスパーソンが集う場所ですが、決して遊び場ではないという点をしっかりと考慮して、一般のカフェなどとの差別化も必要になってくるでしょう。
その上で、企業をはじめ、自宅や公共施設で仕事をすることとの差別化も図っていく必要があります。
・自分の仕事をするのに十分なスペースが確保できるデスク
・ある程度長時間座っても疲れない座り心地の良いチェアー
デスクとチェアーは、もっとも利用者との接点が多くなりますから、慎重に選定されることをおすすめします。レイアウトについては、利用者の動線を考えることが大切です。スペースを共有するタイプであれば、一人が使える領域に余裕を持たせることがポイントになってきます。
観葉植物を置いたり、オフィス空間の香りにも気を配ったりして、空間を充実させていきましょう。 利用する人の属性、利用したいと思っている人の属性などから、仕事の種類や趣向をリサーチできるのが理想です。内装の着想を得るには、すでにあるコワーキングスペースを回ってみてもいいでしょう。実際に複数のスペースを利用してみると感覚的に掴めてくる必要要素も増えてくるはずです。 いいアイデアを見つけたら真似することもできますし、差別化して自社スペースの特色を作り出すことにも役立てられます。将来的に周辺のコワーキングスペースと連携して、情報交換や紹介し合う流れを作っていくことを視野にいれると、独自性を持っておくほうが有効かもしれません。
コワーキングスペースを立ち上げても、その存在を知ってもらわない限り、利用は生まれません。各種メディアを効果的に運用して、まずは認知度を高めるための活動を進めていくことが大切です。潜在している利用者層に情報が届くような発信手段を使うことがポイントになってきます。 Webサイトを制作したり、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを使ったりして積極的に情報発信をしましょう。
利用や申込みの方法などももちろん必要ですが、コワーキングスペースの環境を知らせる写真や映像を届けていくことも大切になってきます。コワーキングスペースを運営する上での最新のお知らせや開催するイベントの告知なども行なっていける有効な広報手段です。コワーキングスペースの情報サイトやプラットフォームも増えてきているようです。 地域で検索されたときにスペースの情報を知ってもらえるようにしておけば、問い合わせや利用の促進になるでしょう。
コワーキングスペースの運営は、待っているだけでは利用者を増やしていくのは難しいものです。コワーキングスペースを使って、こちらからイベントなどを開催することが有効な働きかけになるようです。コワーキングスペースの認知と同時に、実際のスペースを体感してもらうことができます。たとえば、ITエンジニアを集めて定期的に勉強会を開いたり、ニーズがありそうな内容についてのセミナーやワークショップを開催したりするのも有効です。フリーランスの利用も見込めますから、フリーでの活動に役立つような講座や情報交換のための交流会なども喜ばれるはずです。また、利用者同士が仕事のつながりを創出できるようなイベントも集客力が高いでしょう。
他のコワーキングスペースとの共同イベントができれば、少ない負担で開催まで持ち込める可能性があります。 コワーキングスペースの存在を知ってもらうことを目的にする場合、仕事という括りを外してみるとさまざまな企画が考えられると思います。利用者や利用したいと思っている人にイベント内容のリクエストを募って、ニーズのあるイベントを企画してみるのも一つの方法ですし、地域の自治体や企業のイベントでスペースを使ってもらうことでも、口コミでの広がりを狙うこともできると思います。コワーキングスペースの運営では、使ってもらうことに意識が向きがちかもしれませんが、スペースを活用することが利用を生み出すことも忘れないでおきましょう。一回一回は大きな規模でなくても、コツコツと有意義なイベントを積み重ねていくことで、新規利用と利用の継続は促されていくはずです。