Iターン起業で成功させるために心がけておきたいこと

INACOME

国が地方創生を推進しているということもあり、地方というのは実は大きな可能性を秘めている地域でもあります。これから自分の会社を興そうと考えている人は都市部ではなく、あえて地方に自分の会社を作るIターン起業という方法も一度検討してみてはどうでしょうか。ここではIターン起業を成功させるために心がけておきたいことについて解説します。

Iターン起業をすることのメリットを考えてみる

まずはIターン起業によって得られるメリットから考えてみましょう。>最大のメリットとして考えられるのは都市部で得た最新の情報や技術をいち早く活用できるといった点ではないでしょうか。情報の伝達が早くなっているとはいえ、それでも都市部と地方では技術やアイデアの浸透していくスピードが大きく異なります。都市部では当たり前のように利用されている技術や情報、サービスなども地方ではとても斬新なものになることがたくさんあるでしょう。わざわざ誰も思いつかないような新しいアイデアを捻出しなくても都市部で得たものを地方に持って行き、広めていくだけで大きな注目を集めることができます。そして情報が出回っていないということは競合相手が少ないか、または全く居ないということになります。

都市部では新しく会社を興しても周りから注目されづらく、業績を伸ばしていくことがとても困難ですが、地方の場合は同業種内でのポジションが取りやすかったり、トップシェアを獲得したりしやすいので新しく会社を始めてもとても成功しやすい環境となっているのです。また地方では都市部と違って土地が余っています。会社を運営していくためにはオフィスを構える必要があり、オフィスを借りた際には賃料を支払うこととなりますが、賃料も都市部と地方では雲泥の差です。例えば東京都千代田区でオフィスを構えると坪当たり月14,000円ほどかかりますが、徳島県徳島市にオフィスを構えた場合、坪あたり月4,000円程度で済みます。会社を運営していく上でこの差がどれほどのメリットをもたらすのかは改めて説明しなくてもわかるのではないでしょうか。

地方で起業する際の問題点として、インターネット環境が整っていないことを挙げる人は多いのではないでしょうか。確かに一部の地域では光回線の提供エリアとなっていない場所もあり、そこで起業すれば通信環境は劣悪であると言えるでしょう。しかし通信環境が悪い場所ばかりではありません。また災害時に安定した通信を確保することはとても重要であるため現在はむしろ地方で最新の通信技術を普及させるための活動が各地でおこなわれています。例えば東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町では災害に強いネットワークの実証実験が行われており、現在は東京よりも通信設備が整っています。しっかりとリサーチを行えば他にも都市部よりも優れた通信環境が整っている地域がたくさんあるのです。

助成金や補助金を最大限に活用する

地方が地方創生を実現するためにはお金が必要であるのは言うまでもありません。お金を生み出すためには地方にたくさん税金を納めてくれるような力を持った企業を1社でも多く確保する必要があるため、自分たちの地域で会社を始めようとしている人に対して助成金や補助金を支払ってくれる地方自治体がたくさんあります。この助成金制度をいち早く行ったのが和歌山県です。和歌山県では地方創生を国が推し進めていく前である2012年から「移住者起業補助金」という制度を実施しています。

この制度は和歌山県内の移住推進市町村の支援を受けて同市町村へ移住する予定の人または移住した60歳未満の人で、その土地に起業して10年以上定住する意思がある個人を対象とした補助金制度です。地域資源を活用した会社を始めることが条件とはなっていますが、会社を興す際にかかる経費を100万円まで補助してくれます。また長野県では「日本一起業しやすい県」を目指していて、県内で新しく設立された資本金1,000万円以下の会社に対しては法人事業税を3年間全額免除しているほか、長野市では市内に移住して起業する50歳未満の人に対して「長野市移住者起業支援金」を実施し、初期投資費用を支援しています。

このように制度が充実していることと首都圏へアクセスしやすいということもあって長野県は常に人気移住先の上位となっています。これら地方から支給される助成金や補助金は地域で起業する人の特権なので助成や補助を受ける条件をチェックし、受けられそうならば絶対に活用すべきです。

事前のリサーチは入念におこなっておこう

先に書いたように会社を始めようとしている人にたいしてさまざまな助成金や補助金があるので、地方は都市部に比べて新しく会社を始めやすい環境であることは間違いありませんが何も考えずに会社を始めても成功しません。会社を始めるためには都市部と変わらず入念なマーケティングやリサーチを行う必要があります。都市部と比べれば地方は圧倒的に人口が少ないです。人が少ないというのは会社を運営していくにあたっては大きなデメリットになることは否定できません。したがって都市部以上にその地域が今後成長していく可能性があるかどうかをしっかりと確認する必要があります。

特に人口の推移や住んでいる人の年齢の比率の推移についてはしっかりと調べておかなければいけません。一口に地方と言っても過疎化が進みどんどん高齢化が進む地域もあれば若い人がどんどん増えていく地域もあります。普通に考えれば若者が増えている地方の方が成功しそうな気もしますが、高齢者が増えている地域であっても高齢者が喜ぶようなサービスや技術を提供することによって大きな利益を確保できる可能性があります。どういったものがたくさん消費されているかを想定しながら事業を選定することはIターン起業で成功するためにはとても重要です。

またこれは地方での起業だからということではありませんが、いろいろと準備をしていても会社を運営していれば何かしら不測の事態が起こります。その時に適切に対処できなければ大打撃を受け、場合によっては会社の運営が続けられなくなるでしょう。会社の運営が続けられなくなれば自分だけではなく、従業員を雇っていれば自分の下で働いている従業員全員が路頭に迷うこととなります。経営者としてそのような事態は絶対に避けなければいけません。不測の事態に迅速に対応するためには日ごろからどういったトラブルが発生するかを想定しておき、それに対処できるようなビジョンをあらかじめ持っておくことが大きなポイントになります。