起業家の方の中には農業ブームをビジネスチャンスだととらえて、農業で起業を考えている人もおられるかと思います。今回は、農業で起業する方法を2種類紹介したいと思います。
実際に農業分野で起業する方法の一つが、農産物の生産者として起業するという方法です。イメージ通りのものになりますが、田畑を耕し、ビジネスを行うというものです。農業を始めると言われるとほとんどの人が農作物を生産する農家のことを頭に思い浮かべると思いますので一般的な農業での起業方法と言えるのではないでしょうか。この方法で起業する際は、まず既存の農業法人に就職することをおすすめします。これが、一番成功への近道でしょう。というのも、農業ははっきりいって簡単なものではありません。
他の事業ももちろん大変ではありますが、ノウハウやスキルがなくても起業できるものもあります。ですが、農業はノウハウやスキルを持たずして起業ができるような産業とは違います。農業には農業特有のノウハウが必要になってきます。それを知らないままで農業で起業しようというのは無謀かつ無計画であると言えるでしょう。ですので、まずは働きながら学ぶことをおすすめします。それが可能なのが、農業法人なのです。お金をもらいながら学ぶことができますから、学んでいる最中に生活はどのように維持していこうという農業以外の不安で押しつぶされるようなこともありませんから安心して農業独自のノウハウやスキルを吸収していくことができるでしょう。
ただし、どうしても始めから独立してやっていきたいという人の場合は、米のように年1回収穫する作物を最初からやるのではなく、複数回収穫できる野菜から始めてみましょう。複数回収穫できるものを選ぶ理由としては、生産回数を増やすことで、未経験者が経験者と比較して絶対的に不足している独自のノウハウをいち早く習得できるということがまず挙げられるでしょう。また、失敗時のリスクも複数回収穫期があることで分散可能という点もノウハウのない人の起業にとって嬉しい点だと言えるでしょう。
もう一つの起業方法は、農業周辺ビジネスに参入するカタチで起業する方法です。農業ビジネスというと一つ目にあげた農産物の生産を考える人が多いのですが、実際には農業ビジネスはもう少し多様性があります。例えば、マーケティング、商品企画、ブランド化戦略、インターネットによる宣伝などがこれにあたります。しかも、こうした農業周辺ビジネスの重要度は昨今急激に増しているので新規に農業に関わるビジネスを行いたいと考える起業家にはチャンスが大きい分野と言えるでしょう。
ニーズのあるビジネスに参入するほうが成功する可能性は間違いなくありますよね。こうした農業周辺ビジネスは、農家の人たちはこれまで考えてもいなかったことなので仕方のないことですが非常に苦手な方がほとんどです。ごく一部の人はこうしたビジネスのも長けていて、生産者としても経営者としても成功していますが、そういう人たちはごく稀です。この苦手分野を補填するビジネスというのがこの起業方法なのです。収益の伸び悩みに困っている既存の農家を助けると言う意味でも農業周辺ビジネスは人のためになっているビジネスと言えるでしょう。
商業や工業分野の企業でも、外部のコンサルタントを雇う、採用や人材育成に強い企業をパートナーにしている会社も多いですよね。こうした外部のスペシャリストに対するニーズは農業もあるのです。この起業方法が農業で起業したいと考えている人にとって、ありがたいのは、これらの業務で必要になるのは個人の能力やノウハウです。そのため、設備設置やシステム構築といった大きな初期投資が不要になります。これまでの経験が活かせるという点で、このような周辺ビジネスは農業ビジネスへの参戦のハードルを下げてくれます。ただし、農家経営の実態を踏まえない事業はうまくいかないでしょう。ある程度、農業経営についての知識も身に付けた上での企業をおすすめします。農業周辺ビジネスはこれまでの経験が活かせるのは間違いないですが、農業はやはり特殊な産業だという事を忘れると大変なことになるので気を付けましょう。
二つの起業方法を紹介しましたが、農業での起業は実際に生産側にまわることと、生産者を支える立場として起業する方法があります。国内外の農産物が溢れるという時代にあることは、生産ノウハウだけでは経営で成功するのは難しいといえます。どのビジネスも同じですが、農業でも良いものを作れば自然と売れる、儲かるようになるだろうというのはありえません。
選んでもらえる生産者になるためには、マーケティングや契約スキーム構築等のビジネススキルが不可欠になってくるのです。だからこそ、生産ノウハウがないことで起業をあきらめるのはもったいないのです。もし、マーケティングの経験やスキームを構築した経験があるのであれば、そうした自らの強みを活かし、農業に必要とされるビジネスモデルを構築すればいいのです。生産をする側の得意なのか、それとも周辺ビジネスに入ることで自らの力を活かせるのか。これまで培ってきたノウハウや経験を踏まえ、農業起業のビジョンを持つことが重要です。