新創業融資と制度融資の仕組みや条件を簡単解説

INACOME

会社設立した、事業を創業した起業家が事業のために融資を借りようと考えた場合には、2つのお得な融資制度があります。

「日本政策金融公庫の新創業融資」
「地方自治体、銀行、保証協会の3者で行っている制度融資」

があります。

日本政策金融公庫の新創業融資とは?仕組みや条件を説明

日本政策金融公庫という国の銀行があります。日本政策金融公庫が創業者向けにやっている「新創業融資」という制度があります。 日本政策金融公庫の使命は、創業者に融資をすることです。
そのため、起業し融資を考えた創業者は日本政策金融公庫にいくことになります。

①返済期間が長期であり金利が低い

民間の金融機関に比べて、借入の条件面で非常に有利です。融資は受けれたものの返済期間が短いと月々の返済する元金が高く、すぐに返済しないといけないことになってしまいます。5年間かけて返してくれたらよいですよというのと、1年で返してくださいというのでは全然違いますよね。日本政策金融公庫の場合、運転資金で5年程度、設備資金で7年程度が返済期間の基本的な期間だと思います。また、金利が消費者金融のようなイメージで年利10%とかなってしまうと、1,000万円借りると、金利だけで年間100万円近くかかってしまうわけです。(元金が減っていくので、単純に100万円にはなりません。)
日本政策金融公庫の新創業融資の場合には、2%~3%程度の金利で融資を受けることができるわけです。

②原則「無担保」「無保証」で融資を受けられる

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、無担保・無保証で利用することができます。つまり、お金を借りるにあたって、保証人や担保の設定が不要ということです。
昔は間違いなく、代表者が保証人にならねばならず、事業が失敗した場合、代表個人が借金を返済する義務がありました。今では代表者の保証など不要の場合も増えてきており、仮に事業が失敗したとしても、個人が借金を抱えることがなくて済むわけです。

制度融資とは?仕組みや条件を説明

制度融資とは、「都道府県や各市区町村などの自治体」、「銀行などの金融機関」、「各地の信用保証協会」の3つの機関が協力して行う、創業間もない企業や中小企業をサポートするための融資制度です。基本的には、銀行などの金融機関が窓口となり、融資を行います。制度融資と一言で言っても、各自治体に応じて様々なものがあります。内容や条件も異なりますので、管轄の自治体が行っている制度融資を調べてみてください。

信用保証協会とは?

信用保証協会とは、国の機関です。信用保証協会の役割は、創業・中小企業と金融機関の架け橋になってくれます。わかりやすくご説明しますと、通常、銀行は創業・中小企業に実績など(=信用力)の点から、融資をしてくれないことが多いです。逆にいえば、信用力があれば融資される可能性があるわけです。保証協会は、信用力があまりない創業して間もない事業者に信用を与えてくれる機関なのです。 具体的には、融資された事業者が、借りたお金を金融機関に返済できなくなった場合に、保証協会が代わりに金融機関に対して返済してくれるので、金融機関は融資をしやすくなりますよね。

制度融資の仕組みや流れについて

①信用保証協会の信用保証を得るためには、事業内容などについて事業計画書を作成し、それに基づいて信用に値する事業か否かということが判断されます。もちろん代表者の人柄なども審査の対象です。

②信用保証協会がお金を直接貸すわけではありません。 お金を直接貸すのはあくまで民間金融機関です。信用保証協会は融資の返済ができなくなった場合に、返済を代わりにしてくれるだけです。

③信用保証協会が代わりに返済した場合、借りていた事業者は、お金を返す必要がなくなるわけではありません。 金融機関ではなく、信用保証協会に借りているお金を返済しなくてはなりません。

④信用保証協会が保証してくれる場合には、借り手の事業者は、信用保証協会に対して信用保証料という、金融機関の金利とは別のものも支払う必要があります。

⑤自治体の役割を説明していませんでしたが、自治体は、創業する事業者を応援する立場にあります。 そのため、各自治体ごとに、金利や信用保証料を補助したりしてくれます。信用保証協会が融資しやすくするために金融機関に保証をし、金融機関が直接資金を貸し出します。そして、借り手のために、自治体が金利などを補助するというのがそれぞれの役割となります。

新創業融資と制度融資の仕組みや条件の違い

新創業融資と制度融資の融資金額の違い

新創業融資は3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで新創業融資として申請できます。
制度融資の場合は、各行政によって異なりますが、大体1,000万円~2,500万円となっています。

新創業融資・制度融資にお申込みできる条件

1、「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方」であれば新創業融資も、制度融資も対象となっております。

2、自己資金が求められることが大半。新創業融資においては、「新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」というルールがあります。制度融資の場合にも自己資金が大抵求められます。

まず事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合とは、事業をこれから始める方(事業開始届を税務署に出していないなど)や、事業を開始したものの、まだ初年度を終えていない方のことを言います。このような方については、自己資金が必要とあります。※自己資金とは、あなたのお金のことです。それも、しっかりと貯めてきたことがわかるお金である必要があります。 借りたお金や、どこから出てきたかわからないお金に関しては、自己資金として認められにくくなります。自己資金が0円の場合では、基本的には新創業融資などの融資は難しくなります。資金が0円で、事業をやりたいと言われても本当にやりたいんでしょうか?と尋ねたくなりませんか?

新創業融資・制度融資の金利面の違い

金利面の比較をしてみますと、

・新創業融資は大体2.26~2.85%という感じです。 詳しくは新創業融資制度の金利一覧をご覧ください。保証人や担保を入れたりすると金利はもっと安くなります。

・制度融資の場合には、制度融資(実質負担率):1%台〜2%台(地域によって異なります。)という感じです。制度融資は地域により異なりますが、低い所だと1%以下のところもあります。これは、行政が地域内の中小企業の経営の安定化と経済活動の円滑化を図るため、必要な事業資金を低利で利用できるよう利子の一部を助成(利子補給)したり信用保証料を補填してくれるためです。※信用保証料:信用保証協会の信用保証をご利用いただく際にお支払いいただく保証協会利用の対価です。

代表者保証を求められるかどうかの違い

日本政策金融公庫の新創業融資の場合には、代表者保証は原則不要ですが、
制度融資の場合には代表者保証を求められることがあります。

融資実行までの期間の違い

日本政策金融公庫の新創業融資の場合には、うまくいけば数週間~1か月程度という感じで融資が実行されます。制度融資は関係者が日本政策金融公庫の新創業融資に比べて多くいることもあり、 融資実行までの期間として1か月~2か月程度かかってしまうこともあります。

新創業融資や制度融資を成功させる2つのポイント

新創業融資や制度融資を成功させるためには、これらの制度が創業者を応援するためのものだという特徴をしっかりと認識する必要があります。
つまり、融資を受けようと思ったときに売上が0でも問題ないわけです。現在の実績がないということがポイントになります。

1、元金と金利をちゃんと返せるか?堅実な事業計画書が必要

日本政策金融公庫や金融機関が融資する際に重要視していることは、元金と金利を返済し続けてくれるかです。事業計画書においては、壮大な事業計画よりも、現実的にして、確実に実施可能な事業計画を書くこと、売上計画も手堅い計画を考えましょう。多くの創業したての人は、事業計画書をつくるとなると、わけもわからないくらい大きな売上や計画を想定してしまいがちです。何故それが実現できるのか?という根拠を示しながら、数字につき合わせていくイメージです。創業者たるもの根拠がない自信も大切ですが、事業計画、創業融資においては、根拠が何よりも大切になります。

2、融資をする創業者が信用できるか?

日本政策金融公庫や金融機関は、信用を非常に大切にしています。そのため、融資先である創業する人を信用できるかということも不可欠な要素になります。事業は上手くいく可能性が高いと判断しても、事業を実際に経営する人がうさん臭かったり、経営者としてふさわしくなかった場合には、日本政策金融公庫や金融機関としては融資しません。新創業融資や制度融資についていえば、国や行政が絡んで、とても良い条件で融資を受けることができるわけです。当たり前ですが、例えば、税金を納めていないような起業家に対しては融資をすることはできません。

新創業融資や制度融資の特徴として、まだ事業をやっていない人への融資だったわけです。そのため、代表者であるあなたが誰なのか?ということがもう1つ大切になります。誰なのか?ということは、過去何をしてきた人なのか?ということになります。

下記の2人の人どちらの事業がうまくいきそうでしょうか?

「これまで車の整備をしてきた人が、一念発起でラーメン屋をやりたい」
「ラーメンが小さい頃より好きで、ラーメン屋でずっと修行して5年、そろそろラーメン屋を独立しよう」

何となく後者の方のほうがうまくいきそうでは?と思うわけです。新創業融資や制度融資においては、しっかりとした人だ、この人なら事業をちゃんとやりそうだということを色々な項目で証明していくという感覚が近いかもしれません。

新創業融資・制度融資におけるよくある質問

個人事業主と法人形態では融資の受けやすさに影響あるのか

個人事業主とは、法人の形態ではなく個人として事業を開始される場合です。法人とは株式会社や合同会社のような会社の形態のことです。どちらも事業を展開することができますが、融資の可否は、この形態によって影響があるのかというご質問です。この点は、個人でも法人でも違いはないというのが回答になります。確かに、一般的には個人よりも法人の方が信用力があると思います。しかし、会社法が改正されたこともありまして、資本金なども1円から設立できるようになりました。そのため以前と比べて会社だから信用があるとも一概には言えなくなりました。融資時の申請形態はさほど気にしないで大丈夫かと思います。

自己資金について詳しく教えてください

創業時の融資申請で多くの方がつまずく自己資金についてです。ここでしっかりと勉強して、自己資金で融資失敗しないようにしっかりと準備して下さい。自己資金とは、返済義務の無いお金のことをいいます。これから創業される方が創業融資を利用する場合には、借りる金額に応じた「自己資金」が必要となります。※例えば、新創業融資の場合だと、創業資金の10分の1は自己資金でまかなわなくてはならないという条件があります。

返済義務の無いお金とは、主には貯蓄してきたお金のことです。ここで注意が必要なのが、きちんと口座に貯金をして、通帳に記録が残っているということです。
例えば通帳に毎月10万円ずつ貯金している記録が残っていれば、金融機関が見ても「あ、ちゃんとご自身で貯めてきたお金なんだな」と思ってもらえるはずです。通帳に記録のない、いわゆる「タンス預金」だと自己資金としてみなしてもらえないケースがあります。実際がわからないからです。

自己資金がなくても、0円でも融資申請できるのか?

融資希望額に見合った自己資金をすぐに用意できない方も多いですよね。そんな方は、新創業融資であれば、保証人や担保を入れることで、自己資金の条件がなくなります。保証人や担保の価値にもよりますが。 もちろん自己資金が全く無い状態でも保証人を入れれば融資の申請をすることができますが、融資が通るかどうかは少し難しいかと思います。というのも、金融機関は自己資金の有無を通じて、「創業者の事業のやる気」を見ている部分があるので『自己資金が少ない=事業のやる気が少ない』と判断されてしまう可能性があるんですね。本当にやる気や情熱があれば開業資金を多少貯めることができると考えているのです。

自己資金の要件や確認方法

基本的には、通帳の中にお金があるか否かで自己資金は判断されます。そのため、金融機関へは通帳を提出することになります。通帳の中で見えてくるものがあります。それはしっかりと貯金(自己資金)をしてきたのかということと、消費者金融などから多額の引き落としはないかという点です。金融機関は、貸したお金が事業以外で使用されることをものすごく嫌いますので身の綺麗な人へしか融資をしません。

一度融資を断られた場合の再申請は理由が重要

何故、断られたのかという理由が大切になってきます。例えば、すぐにでも解決や改善できる問題が理由で融資が断られた場合には、その問題が解決や改善できますと融資もおりることでしょう。しかし、断られたということは何か大きな理由があることが大きいです。金融機関は、金融に関する個人情報なども調べます。また、何故、融資がダメだったのかという本当の理由をなかなか教えてくれることもありません。

僕の経験上では、
①自己資金が自己資金として認定されない
②事業経験が乏しい
③事業計画書の甘さ
④過去の金融上の信用情報の問題

このような理由で融資がおりなかった場合には、改善や解決するために6か月~1年間は時間がかかってしまいます。税金を払っていない、クレジットカードの滞納があるなどという場合には、融資はかなり難しくなってしまいます。

融資申請のタイミングと許認可取得の関係

許認可が必要となります事業を創業事業とされる場合には、許認可の取得と融資申請のタイミングが問題となることがあります。ほとんど場合、許認可が必要となります事業に関しましては、許認可の取得を前提にしまして融資が実行されます。つまり許認可の取得した後でないと融資が実行されません。融資の申請自体は、許認可の取得が見通せる段階や許認可の取得申請中であれば出せることもありますが、融資審査が仮に通ったとしましても、許認可取得後でないと融資が実行されないということです。

融資申請のタイミングと不動産賃貸借の関係

創業事業を開始する前に、事業所として不動産の賃貸借契約をしておく必要があるのか?ということです。原則、賃貸借契約の本契約は不要ですが、借りる物件などは明確にしておかねばいけません。そのことを証明するために、仮契約書や、手付金などを納めておくことで、不動産を借りる意思があるということや、他の人に不動産が借りられてしまわない状態であることを明確にしておかねばなりません。

ちなみに、何故、このようなご質問が多いのかと申し上げますと、創業はするものの、融資がおりないと事業を展開できない人もいます。そのような人は、融資の前に不動産の本契約などをしてしまいますと、いざ、融資がおりなかった場合には事業はできませんが、不動産契約で数百万円払ってしまったなどいう不確定な要素を消すためという意味合いがあります。

新創業融資と制度融資の両方申請はできるのか?

日本政策金融公庫と制度融資の両方に申請ができる場合は、同時に両機関に融資申請することもできます。日本政策金融公庫と制度融資の審査基準は全く別ですので、申請先が2つに増えればその分可能性も広がるはずです。どちらの機関も創業者にとってはメリットがありますので、創業資金が足りない場合には、ダブル申請もご検討ください。

資金使途(運転資金・設備資金)によって融資の確率が変わる?

「設備資金と運転資金どっちが融資を受けやすいの?」といった質問を良く受けます。一般的には使い道が明確な設備資金の方が借りやすいと言われております。
また、設備資金での借入の方が、運転資金での借入に比べて良い条件で融資を受けることができます。

良い条件というのは、
・金利
・返済期間
・据え置き期間です。

代表者の連帯保証について

代表者の連帯保証については最近では求められないことも増えてきています。 日本政策金融公庫の新創業融資においては原則不要です。制度融資の場合には、代表者保証が求められます。ただ、連帯保証に入ることで、銀行としては融資しやすくなることは間違いないですし、金利などが下がったりもします。

設備資金の見積もりは全て必要ですか?

設備投資の見積もりにつきましては、金額が大きいものを中心に見積もりをいただくようにしましょう。数千円単位の見積書を入れてしまう相当な枚数になってしまうので、まずは金額の大きい見積書で良いと思います。

借金がある場合、創業融資は借りることできないのか?

借金があるから絶対に融資が受けることができないということはありません。 借金をこれまでちゃんと滞りなく返済しているかということと、借金の総額、理由などがポイントになります。

創業者の略歴部分にアルバイトなどの経験も書くのでしょうか?

基本的には不要ですが、仮に、創業する事業にアルバイトの経験がとてもリンクするとか、創業事業の成功に関係しそうな話なのであれば書いたらよいと思います。ただそうでなければ不要です。

開業資金に会社設立の費用を入れてもいいのでしょうか?

こちらは問題ございません。開業資金の中に会社設立にかかる実費などを組み込むことは問題ありません。

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