東北支援キャラクター「東北ずん子」に広がるクラウドファンディングの輪~ユーザーとつくるキャラクタービジネスとは~

①萌えキャラ路線で準備を進める中で、震災が起きた

助っ人編集部
まずご経歴と事業内容を伺います。

小田さん
SSS合同会社はコンテンツの会社で、アニメのプロデューサーとかゲームのプロデューサーと一緒に作った会社になります。なので、最初はキャラクターの準備とかしてたんです。 起業のきっかけとしては、アニメとかサブカルの周辺ビジネスを作っていきましょうっていうことで、メンバーと一緒に作ったっていう経緯がありますね。

助っ人編集部
東北応援キャラを前面に押し出していこうっていうのはどういったきっかけから。

小田さん
弊社は2011年の1月に出来ていて、もともとは東北応援キャラを作る予定ではなかったんですよ。その頃は地方のゆるキャラがブームになった後で、次は萌えキャラも同じことが起きるだろうと予想していまして。 地方の萌えキャラを今からやるといいんじゃないかということで、作って準備を進めていたら、東日本大震災が起きたんですね。そこでコンテンツ業界も復興のために何かしないといけないよねって話し合って、途中まで作っていたキャラを捨てました。 それで東北ずん子に、新しく組み立てなおしてやったんです。

助っ人編集部
震災があって急きょ方針を変えられたんですね。

小田さん
そうです。方針を変えたとはいえ、こうすれば上手くいくんじゃないかという仮説はある程度作れていたので、早めに動き出せたんですね。 発表は10月だったんですが、3月の時点で東北のキャラを作り始めていて、いろいろと準備ができていました。

日本上陸直後にクラウドファンディング活用

助っ人編集部
クラウドファンディングはいつごろから。

小田さん
最初にやったのが2011年なんですよ。ほぼ日本に上陸した直後から仕込んでいました。

助っ人編集部
そんな黎明期から。実際に活用されてみて、効果はいかがでしたか?

小田さん
まずプロジェクト1個ずつお金がかかるというのが、良くも悪くもコンテンツの特徴なので、プロジェクトごとに資金調達が出来るのはいいですね。 あと、何回も出来るのが良いです。結局物を買ってもらうのも、支援してもらうのも全く一緒で、信頼関係の話なので。一回支援してくれた人が前回支援したおかげで自分の世界が楽しくなったって思ってもらえるともう一回支援してもらえる。それが出来るのがコンテンツのいいところだと思います。

②コンテンツとクラウドファンディングはマッチしやすい

助っ人編集部
イベントがあってとかではなく、コンテンツごとに第1弾、第2弾という。

小田さん
そうですね。例えば第1弾だとゲーム用のボイス収録。その直後にボイスロイドっていう音声合成のソフトを出して、そっちは投資型で450万くらいでした。 そのあと3Dモデルを作ったり、ボーカロイドを作ったりとか、一個一個いろんなものを作らせてもらっています。大体のものは作った後に資産になるものにしています。それが何回も使われて、結果的に広がるっていう。

助っ人編集部
それはどうしてですか。

小田さん
コンテンツって結構消費型のビジネスモデルになるんですよ。見て終わりとか遊んで終わり。でも、ボーカロイドとかボイスロイドだと誰かがそれを使って動画を作ったりして増えるんですね。そういう資産になるものってなかなか作りづらくて。単品だと赤字になるんですよ。 でもクラウドファンディングでチャレンジできているからこそ、本来赤字の事業でもなんとか成立したものがどんどんたまっていっています。今は文化庁さんの予算でアニメとかも作ってますけれども、そこまで行けたのはクラウドファンディングのおかげかもしれません。

助っ人編集部
なるほど。コンテンツとクラウドファンディングが非常にマッチしていたと。

小田さん
親和性は高かったですね。特にファンビジネスに対するクラウドファンディングの親和性は高くて。アイドル物も成功しやすいですし、コンテンツ系も一度できているコンテンツは成功しやすいですね。

つくってしまえばユーザーが拡散してくれる

助っ人編集部
クラウドファンディングで支援していただく方って個人のユーザーの方ですよね。支援しつつ、自分たちでも使って広めて、次のプロジェクトが出たらまた参加して…

小田さん
広めてくれているのでまたユーザーが増えていくっていう。

助っ人編集部
素晴らしい仕組みですね。誰も損しないで、みなさんが楽しくなれるようなサイクルですよね。

小田さん
そうですね。特に音声合成ソフトって一回買ったら数年間遊べますからね。

助っ人編集部
そして東北ずん子ちゃんのキャラクターでクラウドファンディングを活用されて、成功されてっていうことですね。基本的に事業内容はキャラクタービジネスのみでしょうか。

小田さん
あとはちょっとコンテンツを作る下請けとかもやっていたりします。 あとは普通にライセンスビジネス。東北ずん子は東北企業は無償で使えるんですよ。東北支援という意味で。 ただ、東京の会社にライセンスを使ってもらってそこからお金をいただくという形にもなっています。

助っ人編集部
具体的にはどういったことに使われているんですか?

小田さん
書籍だったり、グッズになったり、バスにも載っています。仙台のセブンイレブンさんで1店舗限定で置いてくれてるグッズもあります。認知度も高まってきていますね。

③なぜ株式会社にしていないのか

助っ人編集部
クラウドファンディングについては、どのようにお考えですか。

小田さん
なんていうか、クラウドファンディングって100万円超えるとみんなが優しくしてくれる。

助っ人編集部
100万円を超えると。

小田さん
たぶんそれぐらいから成功してるよねっていうふうに思われやすいので。他のビジネスに比べると成功の敷居は低いと思うんですよ。他のビジネスとかって1000万でも少ないとか言われるじゃないですか。でもクラウドファンディングでは100万円でも成功した感が出る。 そこってすごく大事だと思いますね。だからスタートアップ向きだって言われるんだと思いますね。

助っ人編集部
なるほど。ではその資金調達という点でいうといかがでしょうか。

小田さん
うちは役員からの借り入れはあるんですけど、銀行借り入れゼロなんですよ。

助っ人編集部
そうなんですか。VCとかも?

小田さん
VCは断ってます。

助っ人編集部
ということはクラウドファンディングと自己資金のみ?

小田さん
ですね。株式会社にしてないのも理由があって。公共性のあることもやっているので、簡単に会社が売れないようにっていうのもありまして。 簡単に会社が潰れてキャラが死んでしまうと皆さんにご迷惑をおかけするので。お金借りなければそうそう潰れないじゃないですか。

助っ人編集部
会社が潰れてしまうとキャラクターも無くなってしまうとなると、悲しいですもんね。

小田さん
そうなんですよ。実は継続をすごく大事にしてまして。うちの役員の一人がずっと言っていたのは、6年間は最低持たせないといけないって言ってて。 普通のコンテンツってアニメ化になった後にそのままオワコン(終わったコンテンツ)みたいに言われてしまうんですけど、オワコン化しないことをすごく大事にしています。 特に東北を応援する以上、ずっと応援し続けないといけないので。

石の上にも6年くらいの気持ち

助っ人編集部
なるほど。では6年ぐらいしっかりキャラクターが出ればそのあとは自然と?

小田さん
ある程度は行くかもしれないなっていう。石の上にも6年くらいの気持ちですね。

助っ人編集部
やっぱりいわゆる企業がキャラクターを売ることに走ってしまう、利益を上げることに走ってしまうとやっぱりユーザーさんは離れやすいんでしょうか。

小田さん
離れやすいのと、短期化しやすいんですよね。 クラウドファンディングのいいところは、悪い言い方をすると無駄な投資がしやすいところだと思うんですよ。一部の人は必要だと思ってるんですけど、大多数からはいらないって思われてるようなもの。そこに理解が得やすいのはとてもいいところだと思いますね。

助っ人編集部
ファンの方にも喜んでいただけるという意味で、クラウドファンディングを使って、ファンがキャラクターを育てるようなイメージになってきますね。

小田さん
はい。あとはファンが育ててくれて、これは投資に値する物かどうかっていうファン目線での投資の判断もしてくれてるのはありがたいですよね。 だから「これはこのキャラクターの将来にとっていいものか」っていう子どもに対する投資のようなになっているんですよ。

助っ人編集部
そうやって応援もできるし、実際に育てて、普及とかも進めていける。

小田さん
結果的にそれが東北の利益になるっていう道筋がキャラの理念としてできている。 ずん子さんが喜びそうなのでこれをやろうとか、喜ばなさそうなのでこれはやらないっていうふうな判断がしやすいです。経営理念をさらに濃くした感じになるので。

④7回のクラウドファンディングはすべて成功

助っ人編集部
トータルで何回くらいプロジェクトを立ち上げられてるんですか?

小田さん
たぶん6~7回くらいですね。

助っ人編集部
やっぱり最初は苦戦されましたか?

小田さん
そうですね。あと最初の方はノウハウがなくて、本とか書けるようになるともうノウハウが固まってきたので良くて。特に送料が大変ですね。クラウドファンディングは。

助っ人編集部
送料ですか。

小田さん
リターンとして送るものに対しての送料がかかるので。その負担が大きいので送料が安くなるものにしています。グッズ自体にはお金をかけたいんですけど、送料にお金をかけるのってなんか誰にも残らないので。なのでグッズ単価は上げても送料は上げたくないっていう細かい思いがあります。

助っ人編集部
そこは難しいところがありますね。クラウドファンディングは7回利用されてすべて達成された?

小田さん
そうですね。東北ずん子ちゃんで言うと、東北の人が無料でライセンスを使えるので、そこでもクラウドファンディングができるんですよ。もうやり始めてる人がいて、100万超えてるプロジェクトも2個ほどあります。

助っ人編集部
もうキャラクターが独り歩きしてる感じですね。

小田さん
普通は勝手にクラウドファンディングされるのは止めるんですけど、我々の場合は東北が盛り上がるのが良いことだと思っているので。

助っ人編集部
イベントとかは開催されていますか?

小田さん
弊社主催でやってることはほとんどないですが、ユーザーさんがいろいろとイベントをやってくれていますね。

助っ人編集部
それもユーザーさんが自ら。

小田さん
そうですね。例えば宮城県の白石市では、スタンプラリーのクラウドファンディングをやってスタンプラリーも一緒にやるっていう。要はイベント用の予算をクラウドファンディングで集めてやるとかもやってますね。

のんびり起業するのもいいんじゃないか

助っ人編集部
では、これから起業する方や、クラウドファンディング活用したいと思っている方に、何かメッセージをお願いします。

小田さん
スタートアップとかスピード的なことを言ってる人が多いと思うんですが、のんびりやるっていう起業も結構選択肢としてはありかなと思っています。 のんびりやって、コミュニティなりファンなりをじわじわ増やしていくと、あとで負けない構造になります。素早く投資家を入れて大勝ちする以外にも、起業の方法があるんじゃないかなと。

助っ人編集部
のんびりやることで、継続性も出てくる。

小田さん
もちろん、どんなビジネスにしても、得する人が増えれば増えるほど広がると思うんですよ。コミュニティにしても。それをやらないことが一番の失敗だと思っているんで。だからVCとかを入れて、それを強制的にさせられるのもスタートアップの良い部分だと思うんですよ。 うちはその点強制じゃないので、結構まじめにやらないといけない。ただボーっとしてるとそれってできないんで。それは意識的にやった方が良いかなと思います。

助っ人編集部
御社は一度できた関係性が強そうなイメージがありますね。コミュニティ的な部分は強みではありますよね。

小田さん
そうですね。巻き込みやすいっていうのがやっぱりいいところではありますね。

助っ人編集部
その仕組みの中にクラウドファンディングも入っていると。

小田さん
入っていますね。しかも自社でそれを独占してないからこそ、関係者が増える。

助っ人編集部
自動的にみなさんが使って増えていって、自然とPRあるいはファンの獲得につながると。起業というとバリバリやって絶対上場みたいなイメージがありますが、そうではない、ゆっくりのんびりやる起業もこれから出てくることになりそうですね。

小田さん
そうですね。そっちの方がいい気もしますね。人生全体でみると、頑張りすぎるときっと身体痛めるんじゃないかなって。

助っ人編集部
無理すれば無理するほどやっぱり擦り切れていきますからね。

小田さん
そうそう。体育会系のタフな人以外が起業しないっていうのはすごいもったいないことで。そうでない人も割と出来るんではないかと思いますね。

助っ人編集部
なるほど。御社がそういった方のモデルケースにもなっていきますね!

募集情報