地域で活躍する多様な起業家を特集するこの企画。「みんなで企てる会員制のヒミツキチ」という思わずワクワクするようなキャッチコピーのコワーキングスペース「コダテル」を運営するのは、愛媛県八幡浜市の浜田規史さん。実は「コダテル」はコワーキングスペースだけではなく、コラーニングスペースや宿泊施設とても使われています。そんな多様な場所を運営する浜田さんに起業のきっかけや地方の魅力についてお伺いしてきました。
学ぶ、働く、交流の要素を持つ「コダテル」
コダテルとは
コダテルは「学び場」「働く場」「交流の場」の3つの機能を持っていて、「みんなで企てる会員制のヒミツキチ」としています。「学び場」であるコラーニングスペースはプログラミング教室やセミナーを開催する場所。「働く場」のコワーキングスペースはフリーランスの人や、会社員で起業、副業する人などが主に利用れています。「交流の場」は宿泊機能がついた施設で、地域内の会員さんと地域外の人が交流できる場所となっています。「ここから企てる」という意味から「コダテル」という名前になりました。実は他にも、「子が立つ」などの意味も含まれているんです。
コダテルは2018年の1月にオープンして、ちょうど1年が経ちました。「学び場」「働く場」「交流の場」の事業のみに止まらず、20名ほどいる会員さん同士で事業を行ったり、商品開発やプロモーションビデオを作ったりと、様々なことを行なっています。

地域の活動に対して、地域外の人が来たときに一緒にやったりすることもあるんですよ。コダテルでは、たとえばプログラミング教室が開催されていても、少し離れた他のフロアではフリーランスの人がパソコンで仕事しているように、お互いが交わるような空間になっています。
やりたいことを企てることをもっと自然にしたい
創業のきっかけは
僕は小学生のときから企画を立てることがすごく好きだったんです。僕自身もそうだったんですけど、今は個人の時代と言われているのに、上司の目や会社の看板を気にして「やってみたいけどできない」ということが多いと思うんです。「やりたいことを企てることをもっと自然にしたいな」と想いが強くありました。起業などをするとなるとお金が必要になることもあると思うんです。でも、お金を借りること自体のハードルが高いんですよね。これは僕が金融機関に勤めていたときに感じことなのですが、実際にお金を借りに来る人は、すでにある程度計画ができているんです。だけど、その前の段階の「ひらめき」の部分をサポートする場所や機能がないので、そういった場所を作りたいなと思いがあって、コダテルを作りました。今は旅をしながら仕事をしている人も増えているので、そういった人の拠点になったらいいなというのもありますね。
商売の楽しさを教えてくれた地元に恩返しがしたい
県外の大学卒業後、地元に戻るつもりだった?
大学在学中から、卒業後は愛媛に戻ろうと考えていました。

高校生のときに部活動の一環として、商店街にお店を作る活動があったんです。その中で商売の楽しさや難しさを知ることができたので、地元に恩返しができたらいいなとは漠然と思っていました。でもそのときはまだ「コワーキングスペース作ろう」とか具体的なことはまだ考えてなかったですね。大学在学中にインキュベーションセンター(起業や創業をするために活動する入居者を支援する施設)で起業家の方にたくさん会ったんです。そのときに、「地元に戻らず東京とかで起業しても面白いかな」と考えていた時期もあったのですが、やっぱり「一度地元に帰りたい」という想いが強く、愛媛に戻りました。
地方で起業するメリット&デメリット
地域で起業することの良さは
地域で起業することのいいところは、自分のホームなので知っている人が多いことですね。金融機関に勤めていたときに取引のあった個人の方も、いまだに繋がりがあります。助けてくれる人が近くにたくさんいて、すごく助かっています。他にも広報誌に載せてもらったり、近所のおばちゃんがゲストハウスの布団を干してくれたり、さりげなく支援してださることが多いですね。
逆に悪いところは
悪いところとしては、コダテルのある八幡浜ではそれほどではありませんが、地方では新しいビジネスに対して拒絶反応を示す方も多いという現状があります。たとえば、新しくラーメン屋ができるとなればみんなすぐわかりますよね。でも「コワーキングスペース」と言っても「コワーキング」という言葉を聞いたこともない人が多いから、それが何なのかわからない、というようなことが起こってしまいます。
なので、概念から理解していただく必要が出てきます。そういったときは言葉を変えて「学習スペース」や「習い事」のようにわかりやすく伝えるようにするといった工夫をしています。あとはやっぱり人口ですね。特に若い人が少ないことが不利になってしまうことはどうしてもあります。僕の場合は地元だったのでいろんな人との繋がりがありましたが、地域との繋がりがないまま地域で起業するのはハードルが高いかなと感じます。
運営でうまくいかなかったところは
コダテルはプログラミング教室から宿泊までいろんな機能が盛りだくさんな場所です。

それらが同時平行なので、どれも中途半端になってしまった時期は大変でしたね。オープンしてからの1年間の中で事業を雇用やインターン、もしくは業務委託などで一つでもどこかに任せられるようにしたいと思っていたのですが、まだできていないという課題があります。本当に注力するべきところに注力できなかったので、体制を整えておけばよかったなとは思いますが、難しいですね。
あとはオープンしたときにWEBだけではなく、紙媒体にももっと広告を出しておけばよかったなというのもありますね。
コダテルは小さなことでも大きなことでも全力で応援します
コダテルの売りや魅力は
コダテルに来てもらえたら、ぼくを含めてスタッフ、メンターさんがあなたのやりたいことを実現するために全力で応援する、あらゆる方法で応援するというところが売りですね。やりたいことというのは、起業や事業を作ることのような大きなものでなくてもいいんです。来週行く家族旅行の行動予定表を作ることのような、どんな些細なことでも立派なやりたいことですよね。たまたま東京から来た人がコダテルに泊まって「こういうのあるよ」「こういうのどう?」というふうにアイデアが出てきたりすることもあって、地域外の風を吹き込めるのが面白いですね。
愛媛県の八幡浜市は港町で、コダテルの前もすぐ海になっています。暖かいし、新しいことに挑戦する人が多い地域なんです。四国で最初に電灯が通ったり、愛媛県で最初に銀行ができた場所でもあって、昔から我先にと動いていた地域なんです。今でもその雰囲気が残っているので、新しいことへ挑戦しやすい環境ができているんですよね。やりたいと思っていることがあったら絶対にみんな応援してくれるので、ぜひ気軽にコダテルの扉を叩いてほしいですね。
今後のビジョンは
まずはコワーキングスペースの会員さんの数を増やしたいですね。今は20人ですが、50人くらいを一つの目安に。

既存の会員さんのコミュニティを活性化させて、会員さんの満足度、居心地の良さを上げられるように考えています。そして、会員にならなくてもまずはファンになってくれる人がどんどん増えたら嬉しいですね。学び場であるコラーニングスペースは、親御さんへプログラミング学習の必要性などをもっと伝えていきたいですね。
交流の場となる宿泊施設は東京や都市部から来て、仕事をするような人たちを引き込みたいです。観光で来ている方より、旅をしながら働いている人のもう一つの拠点となるようにというイメージです。これらの今行っている事業のことだけではなく、コダテルとしてできることをもっと増やしていきたいですね。たとえばシェアカフェや会員さんのものを売るネットショップだったり。今ちょうどスタッフやメンターを入れるために動いているので、これから人員的にも厚みが出てくるのかなと思ってます。 興味のある方は、ぜひ一緒にやりましょう。
他の地域との繋がりは
嬉しいことに、広報誌やWEB掲載などで地域外の方や企業さんから問い合わせしていただくことも多いですね。東京で仕事をしている愛媛出身の方がコダテルをSNSなどで見つけて、「新しくこんな場所ができたんだ」と戻ってくることもありますね。これは想定してなかったのですが、けっこうあるんですよね。Twitterなどでも積極的にコミュニケーションを測ることも心がけています。今後は地域内の企業・団体とのコラボも仕掛けていきたいですね。
執筆者:伊藤美咲
協力 ローカルクリエイターラボ