モノを売るってこういうこと!経営者の視点と2つの価値 後篇

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「モノを売るってこういうこと!経営者の視点と2つの価値 中篇」のまとめ

その2では原価回収、という点に着目して、固定費をどうペイしていくか、というビジネスモデルの転換アイデアをお話ししました。隙間の稼働率を上げて、月額制のモデルに転換することで、固定費を回収していこう、という内容でした。今回はさらにその続きです。

ランニングコストはこうやって回収する!

固定費の話で、結局実現はしなかったのですが、僕が創業したときの一個のビジネスで考えたのはまさにこの飲食店の固定費を潰すというサービスを考えていたんです。例えばホットペッパーとかでいうと、クーポンって一律で一週間後も変わってないんです。僕はそこに目をつけて、1日単位でとか、1時間単位とか、瞬時にクーポンの内容が変えられるというものを考えてたんです。

ある飲食店で考えると、台風の日に、来客は減るのに多く仕入れちゃってるという事態が起きたとします。絶対売り切れなくなって、賞味期限で捨てるのは本当にもったいないですよね。例えば本来だと1000円で出す物を捨てるぐらいだったら200円でもいいから、それで集客して、合わせてビール2杯飲んでってもらって、回収したらしたらいいじゃないかっていう考えです。お店開けちゃったとか、アルバイトがいますとか、これを回収しないといけないですよね。ですのでこれを特定の人に対して切り売りするということをやります。これを毎日大々的にすると、全体としては不公平感が出てしまう。だからこれを特定の人に対してするんです。この時間帯だけとか、これを見てくれた人だけとか、そういう切り口で考えます。このような原価回収するようなクーポンサービスっていうのを6年前に考えたんです。

最近、DeNAが、特売品に特化したメディアをリリースしていて、超特売品という、80%offのような品物を全部集めたようなメディアをはじめています。それと発想が近いかもしれないですけど、多くの人ってホットペッパーとかのクーポンじゃなくて、前もって予約するケースもあれば前もって全く予約しないで歩きながらとかお店探すケースもありますよね。そういうときにタイムリーに今いる地域で超安いお店探そうよって言って、原価回収してるお店がたくさんダーって出てきたら、その時は絶対ホットペッパーじゃなくてこれを使うと思います。

金の成る木!?無駄なスペースを見逃すな

例えば、大きな総合病院の中に、さっき言ったショップインショップの発想で、中に床屋出しますというのは底堅く需要がある思われます。そこに着目すると、その病院の中に出店許可もらえた瞬間に勝ちだと思うんです。そういうイメージです。その後自分で集客もする必要ない。これの利点としては集客コストをなくすことができます。普通だったら広告出さないと新規のお客さんが来ませんし、内装とかもの凄くお洒落じゃないと難しい。それが、この形態なら需要がもともと固定であるので、初期出店コストを凄く低く抑えることができる。これは病院サイドからしてもメリットなんです。

前述の固定費回収の話で、大きくて無駄なスペースあるぐらいだったら、テナントとして貸したほうがいいですよ、と話しましたが、このようなメリットがありますよね。こういう組み方は手堅くて良いですね。この場合、普通の技術力でいいんですよ。カリスマ美容師を置く必要もなくなります。敢えて言ってしまえば技術力って逆にありませんってぐらいの人で別にいいと思います。結果そこはすごく低コストのオペレーションで、意外と利益が出るのではないかと思います。

そういう「場所」に目をつけるというのも一つの考え方で、素晴らしいですね。もし入院してる人がいたら、そういうチャンスがあるんだ、という想像を少しだけ膨らませて欲しいです。大きい病院の中のスペースに店舗を出したらというのを、大きい病院、しかも長期の入院がある病院、を絞っていって、そこに提案していくということには可能性を感じますね。あと、考え得るアイデアとしては、最近は入院する人も多いので、もちろん病気の人が多いのが良いとは言いませんが、病室が稼働しています。もし稼働してないんだったら、部屋二個ぐらい潰して美容室建てましょうよっていう提案をしてもいいかもしれないですね。

髪を切る以外の付加価値をつける!「失恋美容室」

モテます、以外に美容室でプラス何をするかですが、「失恋」というのはどうでしょうか。美容室さんで僕が投資してやるんだったらこういうものをやってみたいですね。ここに来る人って、当たり前ですけど失恋していて、早く彼氏が欲しいですっていう人なので、彼氏をアテンドします。話を聞いている中で「こういういい人いるんでどうですか?」という話をしていきます。

こういうのもまたバックエンドのビジネスになっていくということです。場合によっては条件、例えば年齢を絞ってしまってもいいと思います。30歳以上で失恋した人とか、相当つらいですよね。結婚しないといけないですし。ここはバックエンドに相当つながると思います。このきれいになった瞬間に、「よかったら主宰してるお見合いパーティー一回無料で行けるんで、行ってみませんか?」と誘って、成約ベースで男性サイドからお金をもらうというプランも可能性としてありますね。あとはそういうところに送客するというのもいいですね。

こういうことを今専門でやってるところってほとんどないと思います。これだけ専門に扱ってるところ、面白いと思いませんか?今日この瞬間だけでも、日本だけでも何千人も失恋してるんですよ。もちろんその瞬間は辛いですが、前向きに変わろうとしてる人がたくさんいるんです。その需要があるんですよ。離婚にしても30万組です。今日本でも3組に1組が離婚してしまうんですね。だからそういう層は確実に存在します。何か大きな出来事があったときに、男性にはあまりそういう発想ないかもしれないですけど、髪を切るって昔から何かのきっかけになっています。失恋のときとか、心機一転考えているときです。そういうサポートができるサービスもいいですね。

視点を変える!マーケットの空白探し

前の記事でも言いましたけど、僕が本当自己体験としてあったらいいなと思うのは、10分でできるような、QBハウスのもっとお洒落な美容室版みたいなのがあったらいいと思っています。本当に少しの時間でセットだけしてくれますとかでいいんです。髪の毛だけ洗ってほしいですとか、そういう細切れのオプション、美容室が持ってるリソースの中で、全部ではなくて、普段だとそれだけだとオーダーしづらいというもの。今でもオーダーできるんでしょうけど、僕が今美容室行って「髪だけ洗ってください」だけ、なかなか言えないですよね。

私の祖父の話なのですが、家から5分の所で祖父と同い年ぐらいの高齢の方がカットしてくれて、でも祖父より先にその人が亡くなってお店を畳んでしまったんです。そしたら祖父が髪切りに行くってなったら駅前まで行かないといけなくなりました。しかも少しお洒落なところなので、なかなか高齢の祖父としても入りづらかったようです。その後どうしてたんだろうって思いますよね(この視点が重要)。そういう需要って新しく出てきますよね。

今後の時代環境を考えていくと、今は切れてたとします。その人が高齢化していなくなった瞬間にそこに何千人も囲っていたお客さんが空白化します。このマーケットがどこに移るんだろうって考えてみてください。そうやって考えてみるのは面白いですよね。どこに行くんでしょう。遠いところは足腰も弱っていて難しいですね。そういう意味で、別のケースですが訪問は凄く価値がありますね。

オペレーションのデータベース化

また別の視点ですが、美容室ってデータ蓄積してデータベース化してこの人はこういう髪型でこういうオペレーションでないとダメなんだっていうのが確立されてるわけではないですよね。僕の祖父も本当にそうで、意味ないんですけどやってほしいというオーダーを沢山出していて、美容師さんはもう分かってるのでこれで進めますという形に最終的にはいつもなっていました。そういうところに問題解決のチャンスがありますよね。

あとは、僕の同期の女性に聞いた話ですが、小さい子どものいるお母さんもなかなか髪切れないんです。なぜなら、子供を連れて行くと切っている間の子供の面倒を見る人がいません。だからお店が迷惑ではないかな、というので行けない、といった事情もあるようです。こういうところにもチャンスがありますよね。結婚して子ども生まれたときに、「託児所付きの美容室」など、業者サイドで預かってくれる、というのも今後の時代環境と照らすと、新しいトレンドになる可能性があり、面白いなと思いました。

このように、時代の移り変わりで市場が空く部分、それから今までになかったサービスの組み合わせを考えることで、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。それをつかむために、日ごろから「なぜ今こうなっている?」「それをどうする?」などの視点を持っておくことが大切ですね。