キャンプ場を舞台に日本の農を豊かにする:INACOMEビジネスコンテスト受賞者インタビュー

INACOMEでは、ビジネスモデルからはくみ取りづらい起業者の想いやビジョンを広く知っていただくために、INACOME参加起業者のインタビュー記事を掲載します。

今回は、令和4年度INACOMEビジネスコンテストにおいて、「キャンプde地産地消『TerroirCAMP』(テロワールキャンプ)」のテーマでプレゼンを行い、最優秀賞を受賞した株式会社Engi取締役クリエイティブディレクターの山崎繁幸さんにお話を伺いました。

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世の中に存在を知ってもらうきっかけに

――昨年度の「INACOMEビジネスコンテスト」への参加のきっかけを教えてください。

昨年JAのオープンイノベーションプログラムで賞をいただいた際に、INACOMEへのお誘いをいただきました。現在のキャンプの仕組みでは観光としての経済効果が低く、地方振興に向かないという現状があります。その現状を変えて「日本の地方にお金を落としたい、日本の農林水産業を活性化させたい」という私たちのコンセプトに一番合うイノベーションプログラムがINACOMEだと感じて参加を決めました。

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――コンテストに参加してみていかがでしたでしょうか。「最優秀賞」の反響などもありましたか?

発表や審査員の方との継続した関係がとても勉強になっています。そして一緒に発表した方々とは、今後何かしらの連携ができたらと話しています。

また反響に関しては、やはりINACOMEビジネスコンテストで受賞したということで、反応はとても良いです。まずわたしを含めて関係者の士気が上がりました。そしてメディア等にも注目していただき、別のビジネスコンテスト等に参加したり、それに伴ったWeb記事で反響をいただいたりと、世間に私たちの存在を知っていただく機会につながったと思います。

エリア拡大やBtoB事業の拡大を進める

――発表から約4ヶ月ですが、変化等はありますか?

まずどのエリアでも最初に行う食材のインフラを構築するところに関しては、7月予定の2県もすでに構築が終わり、現在10のエリアまで広がっています。そこからキャンプ場を通して消費者とつながり実際に販売するというところまでには少し時間がかかります。これが1つの障壁であると、取り組みを開始してから気づきました。これに対しては、コールセンターの方で予約サイトへの露出やその内容等を含めて総合的にサポートを行っています。

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またその他にも取り組みを進めており、まずはキャンプ場以外の民泊施設にも同じように地元の食材を提供するというサービスを開始しました。さらに発表でも注力分野としたBtoB事業として、キャンプ場を舞台に地元の食材を活用しながら企業や自治体のイベント等を行う事業も開始しています。5月末にはタイ政府の依頼で、富士宮のキャンプ場を使い、地元の食材を使用したタイ料理をはじめタイのサウナ等を体験するイベントで約1,000人の方に参加いただきました。鳥取県とも連携してアドベンチャーツーリズムを軸とした観光プログラムを開発しています。

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地域の個性を体験できるキャンプ「TerroirCAMP」を広めていく

――今後の展開を教えてください。

まず現在事業を進めていくなかで2つの障壁があると感じています。1つ目は、先ほども出ました実際に消費者の手に届くまでのところですね。キャンプ場からきちんと情報を発信して消費者に知ってもらう。ここは私たちの強みであるコールセンターを中心にサポート体制ができているので、継続して取り組んでいきます。2つ目は、キャンプでは「地域の食材を食べよう」というような高付加価値のものを楽しむという考えを持っている方がまだ多くはないというところ。「ツーリズム」になりえていません。それに対しては、魅力的なものを提示して消費者の行動自体を変え、より高付加価値のものを選び楽しんでもらうように仕掛けていく必要があります。

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そこに対して有効なのが、鳥取県と開発している観光プログラムになると思います。私たちが名付けた「TerroirCAMP(テロワールキャンプ)」は、「テロワール」が持っている「その土地、地域の個性」という意味から食だけではなく風土、伝統工芸や歴史など、その土地の個性を体験することを意味しています。そのような地域の着地型観光に結びつける観光プログラムを自治体やキャンプ場と連携してつくりあげていきたいです。

<リンク先>

・TerroirCAMP(外部Web)